最終話
アリアというVを行い、半年ぐらいの年月が経った。
チャンネル登録者数は3000人で、同時接続者数は200人と安定している。
過疎期とくらべると、圧倒的に知名度も集客力も成長している。
それに伴い、収益化も進んでいる。生配信中のカンパも1万・動画収益1万と合計2万稼いでおり、Vとして順風満帆だ。
上げ調子であるそんな私は人生を変えてしまうようなメールを受け取ってしまう。
最初は新手の詐欺ではないのかと疑ったが、どうやら本当みたいだ。
まさか、V事務所からオファーがかかるなんて思ってもいなかった。
V事務所と言っても、大手2事務所ではなく中堅事務所であるが・・・
それでも、所属しているVのチャンネル登録者数を見ていると、最低1万人で私の3倍はいるわけだ。
この事務所の目玉Vは5万人であり、大手Vと言っても過言ではない。
おそらく、所属すれば1万人くらいはすぐに集まりそうだ。
数字的にはおそらく所属したがいいのだろうと思われる。
事務所の条件としては、転生は行ってほしいとのこと。
しかし、水饅頭さんとの2年間アリアとしてVとして活動する約束があり、断るしかなかった。
水饅頭さんには、切り抜き100個つくってもらったり炎上の火消しなどをしていただいた恩があり、逆らえないのだ。
だから、事務所に水饅頭さんの件を少し説明し、お断りのメールを入れた。
実は後悔の念は存在しており、自分も大手に慣れたのではないかと勘違いしてしまう。
でも、水饅頭さんとの約束の方が大切で、あの人が居なかったらここまで大きくなっていないのは事実だ。
そんな後悔で無駄に考えたくないため、クソゲーを検索エンジンにかけながら探していた。
2時間くらいクソゲーを探してみるも、検索エンジンの上位のゲームはすべてやりつくしており、
絶望している。
ネタがないため、あの高難易度のクソゲーであるファンタジーソードを縛りでもつけてやるかとため息をつけていた。
なんとなくメールを眺めていると、例の中堅事務所から返答が来ている。
了解しましたみたいな感じの内容が来るのだろうと予想していた。
しかし、そのままのアリアで事務所に入っても大丈夫との返答が来ていた。
事務所側が無理やりでも私を所属させたい意志が見えており、1週間ほど考えてからスカイプで返答してほしいと訴えている。
底辺である私がこんなに大きな事務所に認められて、私はうれしかった。
視聴者が増えており、ネットで認められた感じがある。
しかし、公の企業が認めてくれたことは本当にメジャーになれたんだなと思えて、
視聴者に認められたことよりうれしい気持ちが強い。
最初から応援してくれた視聴者よりも企業を優先する私はこんな感情をもって、小さな人間だなと思った。
ただ、今のアリアちゃんの強みは視聴者とのつながりであり、それを捨ててまでも事務所に所属するかは悩ましいところだ。事務所に入ったら数字は伸びることは間違いはないが・・・
そんな思いは、配信にもツイッターにも乗せないようにしようと思った。
第3皇女~スタンフォード・アリア@Aria₋Stanford
下民ども、ごきげんよう♡
今宵は、真面目系のお悩み相談を行うわ。
私らしい解答をのせるから、きっとためになるわ。
https://www.youtube.com/watch?v=wdvMFVV
♲112 ❤220
今の私に対して悩み相談をしてほしい気持ちは抑える。
それが、幻想を見せるVとしてのプロ意識だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
もやもやした気持ちは引きつったまま、配信の開始ボタンを押してしまった。
「ごきげんよう。下僕の皆様。第3皇女 スタンフォード・アリア様よ
ツイッターで言った通り、真面目系を行っていくわ。
では、行くわよ」
いつもだったら、憑依された感じで言葉がスラスラ出るのに、なぜか演じている気分になっている。
やはり、事務所の件が頭から離れきれない。
大手の配信者はこれより重い重圧と闘っているから、尊敬してしまう。
曲がりなりにも収益化している身としては、自分のメンタルの調整ができていないのは、恥ずかしい。
収束した週末に終末した:前の枠のたくわん先輩が凄かったからなw
水饅頭:アリア様、声が震えていますが大丈夫ですか?
ライトニング坂田えもん:いつも声かわいいです
勝負名人:こんばんわです
アルファ:今宵は真面目系か。楽しみだわ。
鳥の惑星 ~ギョギョトラス~:たくわん先輩は前の枠もあばれまくったからなw
クソゲーマニア:楽しみです
甘味民 民です:今日もかわいいです
ドラゴン先輩:毎日、配信していて疲れていない?
ソードマスター大ちゃん:相談枠とクソゲー枠のみでやっていけているアリア様はすごいです
メンタルブレイクサタン:こんばんは。今宵も楽しみです。
野田係長補佐の紋次郎:こんばんは
一部のリスナーに悟られることはなかったが、ドラゴン先輩さんや水饅頭さんのような最古参リスナーは何か察したようだ。
これは、プロとして失格だな。
FROM 理男
件名:悩み相談
最近色々とあって、ゲーム実況を始めました。再生数が少ないのは多少気にしてるのはありますが、悩んでるのは別にあります。
知り合いが自分の配信を見ていたようで、その知り合いがもう少し雑談やゲーム内でのリアクションがあると良いかもと言われたことです。
初回のときにも言われており、気にしてはいたのですが今回も指摘されていました。
確かに自分以外の人のゲーム配信の動画を見るといかに自分が喋れてないかを思い知ってはいたのですが、それが中々実行できません。
他の配信者並みに話せるとは言いませんが、何か良い案はありますでしょうか?
「確かに難しいわね。正直、経験だと思う。」
ライトニング坂田えもん:場数ですわな
勝負名人:しゃべるのは難しいですからね
アルファ:営業ですけど、そうだと思います。
鳥の惑星 ~ギョギョトラス~:トーク力を伸ばしたいは結構多い悩みですな。
「これだと話が終わるわね。私のトーク力は前より伸びていると思う?」
収束した週末に終末した:さすがに毎日やっていれば伸びるよね。
水饅頭:初回と比べれば、トークをうまくなっている気がします。
ライトニング坂田えもん:トーク力って、人それぞれだよね。難しいよ。
鳥の惑星 ~ギョギョトラス~:視聴者数的に伸びているんじゃないかな。トーク力って人それぞれだもんね。営業のトークとお笑い芸人のトークは全く違うもんね。
「おしゃべりの講座系動画を見て、勉強しながら配信の量を稼いでいくしかないわね。
量しか解決方法がないわ。質を高めたいなら本や動画で学んだことを実践して、フィードバックしていくことね」
甘味民 民です:配信は量ですよ
ドラゴン先輩:配信って、難しいよね
ソードマスター大ちゃん:かなりの精神力が必要ということですね。
メンタルブレイクサタン:配信はいろいろ考えないといけないね。アリア様も大切ですもんね。
野田係長補佐の紋次郎:配信者って、相当な精神力が必要だね。
私はこの悩み相談を通して、私は分かったことがある。
それは視聴者のコメントがないと、私はそもそも話しきれないとのことだ。
コメントの返信を行っていくことで、事務所のことは忘れていた。
私には、視聴者が大切だと思った。
おそらく、事務所に入ったらこの微妙な距離感は守れないし、魅力は半減してしまう。
個人勢で数字は伸びなくてもいい。
ただ、私を認めてもらえている人に支えられるだけでいいんだ。
私は、私の中で方向性が決まった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
もちろん、例の中堅事務所にはお断りメールを入れた。
私には才能なんてなし、おそらくこれが最初で最後の企業の絡みになると思う。
事務所に入ったら、数字も伸びるかなと予想はしている。
でも、視聴者との繋がりで伸びてきた私とアリアちゃんには、事務所の加入によって視聴者との距離が離れることは長所を消すことになる。
やはり、視聴者とのつながりを大切にしていこう。
このまま、底辺個人勢でも貫いていこう。
手取り14万で気弱い私が傲慢系皇女VTuberを演じて,成りあがって行く予定です 最近、無能ナナに、ハマっているもそ @moso25252525
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