第3話

6

で、結局、俺はその詐欺まがいの仕事を今も続けることになった。

大学とか資格とかは大した金にならなかったからだ。


仕事をすることが馬鹿らしいって話を信じたわけじゃない。

しかし、俺はこう考えたんだよ。

この仕事は、貧乏な女を救い孤独な人間を救出しホームレスに部屋を与える価値のある仕事なんじゃないかって。


少なくとも自分で唾を飲み込めないジジイの唾液を吸引してさ。吸引した後に涙を拭く仕事よりは役に立つと思ったね。


ところが、周りの人間は立派になったとかお前は昔は勉強できなくて心配だったけどやっと本気を出したな

なんて言ってくるもんだから、笑っちゃうよな。 勉強の方がよっぽど頑張ったっつーの。


7

俺は返事も面倒でただ赤べこのようにカタカタ頭を振っていた。


この生活のいいところはストレスは少ないし女の股を開き放題だし乳首を弄り放題って点だけだ。


おいおい、人の価値ってこんな簡単に変わるのかよ?

俺はあらためて周りを見回した。

なんていうんだろうな、自分が王になった気分とでもいうか。


でも俺の目に見えないだけで、本当はそこら中に

幸せのチャンスが飾ってあるのかもしれない。

なんてな。いつまでこの笑えない冗談は続くんだ?

8

駅前のスーパーに行ってやっすいスパゲティや米を買う。

年収二千万ってカスだなと思う。

税金で引かれて八百万しか入らないからな。 年収四百万とか冗談だろと思う。

どうやって生活してんだよ。まぁ、つい一年前までそちら側の人間だったわけだが。


近くでママーって抱きついてる子供を見て羨ましがっている自分が情けなかったな。

もうちょっとで俺も抱きつくところぞ。


金あるのに幸せじゃねぇなと思った。 まぁ、全然足りてないわけだが。最低でも四千万はなくちゃ株の安定的な生活はできない。


駅で買い物を済ませた後、母親が電話にが出るのを待った。

数回かけ直して、俺の名前が呼ばれた。

妙だよな。電話を切っちゃったよ。

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盗作 @srsss

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