第16話(というより、おまけ?)

「水族館にいる友から手紙が届いた」

「あら!」


 僕は人間社会で生きている友や親戚と、こうして連絡を取り合っている。送られてきた手紙をペン子にも見せる。


「元気にしているようで安心したけど、これを見て驚いたよ」

「何?」

「はい」

「まあ……すごいわね、これ……」

「スタッフさんの観察力が素晴らしいよ」


 ペン子が驚いているのは、ある水族館スタッフが作った「ペンギン相関図」だ。友は手紙と共に、これのコピーを添付してくれた。


「こっちで三角関係、この方たちは同性カップル……BLって表示されているわ」

「ボーイズラブか。ちなみに女性同士ならガールズラブだよ。GLって言い方もある」

「色々あるのね」

「そういやペンギンを同性愛のシンボルとする文化もあるとか聞いたような……」

「それ初耳よ私。やっぱり物知りね」

「あ、これ人間たちも含んでいるのか!」

「本当! すごいわね!」

「どれどれ……この人は女性ペンギンにモテモテで、そっちのベテランスタッフは新入りたちのリーダー的存在……」

「ペンギンが本格的に人間社会へ進出する日も、そう遠くはないのかもね」

「……うん……!」


 そして愛は様々なのだな、と思った。


「ペンギンがそこそこ浮気すると書いてあるわ……」

「一夫一婦のイメージは見事に崩壊したね。でも、これはこれで楽しんでいる人間たちって、たくましいよね」

「そうよねぇ」


 人間からしてみれば、こういったペンギンのダメな部分も魅力的なのだろう。そしてペンちゃんの人間に対する興味も強くなるだろう。僕もそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

意中の人鳥 卯野ましろ @unm46

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ