全自動人生

深夜太陽男【シンヤラーメン】

第1話

     〇


 仕事いやじゃー! 人間関係面倒くさいんじゃー! せやっ、人工知能にワシの身体預けて仕事してもらえばええんや! 仕事中はぼーっとしてても勝手に仕事してくれるし、帰ってからと休日だけワシが身体使えばええんや。せやけど優秀な人工知能とそれを脳みそにインストールする機械なんてあるんかいな? ポチポチ検索ーっと……。あるやんけ。しかも中古で個人版売されてるとか時代進みすぎやろ。ワシ天才かと思ったけどワシでも思いつくことはもう誰かがやってるもんやな。まあええわ、値段とレビューが怪しすぎないやつをカゴにいれてポチやでー。


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 商品きたでー。なんや、ファ●コンみたいやな。どれどれ、この赤と白と黄色のケーブルを頭にぶっさすなんてえらくレトロな仕組みなんやな。いくでー、ぶすっ、あ、あ、めっちゃ痛いやんけ! え、インストールなんで始まらんの!? あかん、説明書に続きあったわ。カセットソフトをフーフーしてセットするって……。ソフト必要なんかい! これハードだけじゃ無理なんかい! ちょっと待って痛いんやけど! これ途中で抜いてえんかいな、もう我慢できんから抜くで! ズボッ! 血ブッシャー! めっちゃ血出てるんやけどリバテープでなんとかなるんやろか……。


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 ソフト買ったでー。お仕事用は日常生活用よりも高いんやなー。これで元とれんかったら悔しいわ。まあええわ、痛いから一瞬でやったろ! ぶすっ、あ、あ、痛い! カセットをフーフーしてガチャッ! 『ふっかつのじゅもん』ってなんやねん。テキトーでええんかいな。えいえい! あ、インストール始まったわ。めっちゃ頭良くなっていく気がするわー。お、もう完了やで。意識するだけでワシと人工知能が入れ替わるんかいな。初めて仕事が楽しみやわー。


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 なんなんやこれ……。ぼーっとしてるだけで仕事勝手に終わってるし昇進と昇給と上司の機嫌が良くなっとるやんけ。ワシの今まではなんやったんや……。まあええわ、仕事はうまくいったし、独り身寂しいから今度は婚活用の人工知能をポチやでー。


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 なんなんやこれ……。ぼーっとしてるだけでべっぴんなヨッメさんできて最強に可愛い子どもまで産まれてしもうた。育児も自信ないから人工知能にお任せや! ノーベル賞受賞のオリンピック優勝者にさせたるで!


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 子ども大出世しすぎやろ……。それでもちゃんと実家には孫と一緒に顔出してくれるとかいい子すぎやん。本当にワシの子どもなんやろかっていうくらいや。まあ人工知能さまさまやからな。ワシは何もしとらん。

 もうずっと人工知能に身体を預けっぱなしや。ヨッメも子どもも愛してるのはワシやなくて人工知能や。ワシの身体やのに、ずっと他人の人生を覗き見てたみたいやな。でもゲーム実況動画だけ見てゲームした気になってるワシにはちょうどええんや。歴史に名を遺す偉人でもないし、世界を救うヒーローでもなんでもないんやけども、家族を笑顔にできただけでハッピーや。もう腰も脚も悪くてあんまり動けないけども、人工知能さん、最後まで頼むで。

 

サンキューやで。

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