ストーリーはどこか詩的で優しさを伴った文章で描かれています。読み終わるまでずっと心を揺さぶられ続けたように思いますが、その揺れを具体的に表現できません。最後は希望に満ちているように感じます。が、解釈は読者に任せるとのことなので、皆さん、考えてみてください。私は全体を通して、自分がこれまで辿ってきた道を薄く重ねてしまいました。手に取る価値がある「本」です。
「とある世界の、とある片隅に不思議な森がありました。(本文引用)」と始まる物語。あっという間に不思議な童話の世界に引き込まれます。あらすじを書くとネタバレになりますので割愛いたしますが……その森で出会った彼との交流を通して、ボクはさまざまな感情を学び、そして力を得ていきます。『ボク』の心情が丁寧に綴られ、読んでいる者もすっかり魅力されるような雰囲気に、昔夢中になって読み耽った宮沢賢治の世界を思い出しました。ぜひ、みなさんもボクの成長を応援してください。