第5話 部長サトルの女性遍歴
「皆さん、今日は各地からお集まり頂き、誠にありがとうございます。実はこういうのは、苦手でして。なので、時計はさておき、過去の女性遍歴でも、話せる範囲でお話ししましょうかね…」と告げると、真っ先にアキラが、「イヤッホーイ…」と妙な奇声をあげた。
「最初の女は、髪が長くてスレンダーな、笑うとキョンキョンに少し似ている、同級生のマリコでした。あれは中学二年の冬でしたかね…」そう話し始めると、「はえーな、フッ。」とタカさんが笑い、「つまり、部長は大器晩成型ではないという事ですね!」とツッコんだ。
体勢を立て直し、オレは続けた。
「そのアキナに似た、マリコを堪能した後は…」
とボケると、今度はアキラが、「マ、マリコはキョンキョンでは?」
ニヤニヤしながら、尋ねてきた。脳裏にはマリコの裸体が浮かび上がり、オレもニヤニヤしながら、かつ、何かのスイッチがオンになった。
「そうそうキョンキョンのあとは、セイコだったんだよ」
アキラが涙目で、オレに訴えた。
「部長… いやジーザス様、つまりアイドルオタクだったというカミングアウトなんですか?」
酒が回りだし、そろそろかなと思い始めた。
「いやいや、オタクではないよ。ただニッチなアイドルが好きで、君らは知らないかも知れんが、オレは石川ひとみのファンだったんだ。つまり、万人受けする娘より、どこか陰のある娘に惹かれるんだよ。別に石川ひとみに陰があった訳じゃないが…」
オレは煙草に火を付け、続けた。
「マリコの母親は、スナックの経営者。つまり、ママさんだったんだ。学校が終わり、夕方、マリコの家へ遊びに行くと、そのママの部屋に、そうだなぁ、20代後半あたりのお兄さんが、ベッドに裸で横たわってるのが見えるわけ。マリコは、全く動じずに、オレを部屋に導き、小さな声で、あの人は、遊びの人!と告げるんだ。中学生の女がだよ… って、まあ、各々家庭の事情は、違うしさ。軽く驚いたけれど、リアルな世間の実情みたいなモノを知ったような気になって、なんとなく、大げさだけど、妙な自身の成長を自覚できたんだ。経験値が上がった感じね。」
皆の食いつきが良く、まだ話を聞いてみたいと察したオレは、いい想い出だけではなかったマリコとの話は、はしょって、次の相手について話し始めた。
「そして、その後は、1コ上の先輩、バイト先の先輩の妹さんやバイト仲間なんかと、くっついたり、離れたりを繰り返していました。そして、カフェバーのバーテンダーを経て、ディスコのバーテンダーとなり、とある会社のご令嬢と同棲を始めた。その子とは彼女の浮気と、オレの薬物によるコンディションの悪化で、2年くらいでお別れした。まあ、ひどい時期だったよ…
根が享楽的なもんで、建設的な人生設計なんて、全くのノープランだったなぁ。」
誰も発言はしなかったが、何か言いたげな雰囲気となり
和ませようと、下ネタを披露してみた。
「そういやさー、そのオレの若かりし頃、エッチの最中にさ、真顔で懇願してくる女がいてさぁ、なんて言ったと思う? そいつ、お尻の穴にも入れてみて!って言うんだよ。そいつはとある高校の校長の娘さんだったんだが、流石、行き届いた教育を受けてんなと、思ったね!
その女は、大学は卒業したけど、ホステスしかできないとか言って、部屋を借り、新車でスポーツカーを買い、鍵を2つオレに渡してくれたんだよ。」
タカさんが、神妙な面持ちで、口を開いた。
「うん。実に素晴らしい。つまりは、お金の流れ的に話せば、頑張ってお勉強したオッサンが、いい会社に勤めて、それなりのサラリーを稼ぐ。または、大なり小なり、起業して、オーナー経営者となり、それなりのお金を稼ぐ。そして、子供の世話でやつれ、身だしなみも疎かになって、どんどん肥えてくる、古女房に幻滅し、接待と称し飲みへと繰り出して、お気に入りを見つけに行く。そして、気を引こうと大金を使って遊ぶ。その金が、回り回って、ホステスの男へと渡り、ロンダリングされてく訳ですな…」
皆が次の発言に注目していた。
「それを踏まえれば、私のお気に入りのミサも、
たぶん、若い男がいて、営みを楽しんでるんだろう。
若さってのは、ある種、才能に近い特権階級かも知れん…」
続編につづく…
星屑倶楽部 南部 健二郎 @K-jiro
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