資料16 第16節
正礼暦二一一年○月○日
エイダ・プラウス記
今回は情報そのものが少なく、推測、調査すらできない。
相談しようにもジョゼフは仕事で街を離れ、しばらく帰ってこないそうだ。
そうなると何か物足りなく感じるもので、普段やりもしない料理に手を出した。せっかく美味しいパスティの作り方がわかったんだ。私なら簡単にできるはず。そう思ったが間違いだったようだ。どうやら私は料理向きではないらしい。まともな形になるのに十日。肉を焦がさず、汁を漏らさないようにできるまで五日かかった。
しかも、満足いく出来栄えのパスティの評価は散々。
毎日食べさせていた父の話では、パイが破れて肉がはみ出たパスティのような何か、が夢に出てくるらしい。
まともに食事してなさそうな上司に、良かったら、と差し出したら、図書館に飲食物の持ち込みは禁止されています、と叱られた。
ジョゼフにも、と考えていたが止めておこう。
【土地/時期】
時期、土地、共に不明。手がかりになりそうな情報もない。パスティはセックトンランド王国発祥の料理だが、どこでだって作れるし、鉱山も山ほどある。山だけに。
完全にお手上げ。
【人物】
・ギル
食べて、飲んで、寝てただけでは?
私が少ない情報から手がかりを探そうと必死になっているというのに!
・コーディ
男性。酒場の主人。
先代の主人である父親と比較されて半人前扱いされないように努力している。
ジェシーを雇ったのは気まぐれではないだろう。コーディは自らの成長のためにジェシーが必要と感じたのだと思う。ガイの言うように、お人よしでもあるだろうけど。
・ジェシー
男性。孤児だったがコーディに雇われた。
つらい思いをしたのは不幸だけど、コーディと出会えたのは幸運だと思う。打ちひしがれていたので暗い気質に見えるが、元は明るい子な気がする。
・ガイ
男性。コーディの店の料理人。
荒れていた頃、コーディの父に雇われたらしい。
・オリバー
男性。元鉱夫。
コーディの父が作ったパスティが好物。
【資料】ある旅人の足跡【教会図書館関係者以外閲覧禁止】 Edy @wizmina
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