ロスト・ハート〜だから俺は崩壊へと導こう〜

真昼

1章1話 アルとミオ

アル•テンペストには1冊の好きな本があった。

その本の名前は『天使戦争』である。

今日もまた、双子の妹のミオ•テンペストと一緒に本の1ページを捲り読み始めるのであった。


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これは昔のまた昔、本当にあったお話しであります。


光明の地の帝国アルカは、かつて聖なる天使の加護を受けていました。


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「兄様、兄様!私たちの国が出てきましたよ!」

とミオは本を読んでる最中に話しかけてきた。


「ダメじゃないか、ミオ。本を読んでる時は静かにしていないと」

と手をグーにしてミオの頭の上に軽く置く。


「ごめんなさい、兄様」


「わかったならいいんだよ。じゃあ、続きを読むね」

と言い、またアルは1ページを捲る。


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大天使ラファエルは、人々の痛みや苦しみを癒していました。

同じくして、大天使ルシファーは人々の罪を懲罰していました。

そうして2人は共にアルカ帝国の平和と善悪を維持していました。


しかし、他の国は奪い合いと争いに満ち溢れていました。


そうして奪い合いと争いではく、善意と安らぎ、

そして助け合いといった正の感情を持つ者が増えていき最後には全ての大陸から負の感情がなくなれば、ルシファーも懲罰と死の執行をしなくて済むと思いました。

そうして徐々に懲罰の対象は罪深さを増していきました。

罪を懲罰していくたび、ルシファーはより大きな力を求めていき、自分自身が気づかないうちに彼は強大な力を打ち負かすことの快楽に溺れ始めていった。


そして、力を求めすぎたルシファーは天使が1番犯してはいけない罪『堕落』を犯し反転してしまいまい、反転したルシファーは天使から堕天使へと生まれ変わりました。


しかし、ルシファーが反転した原因は闇の王カオスロードによる計画のせいでありました。


カオスロードは昔から強大な力を持つルシファーに目をつけており、故意に罪悪の事件を起こしルシファーを自身の計画に誘導し、彼が堕落を起こすように仕向けたのでありました。

そうして、堕天使ルシファーになりカオスロードの右腕たる存在になってしまいました。


一方、ラファエルはルシファーが堕落したことを自分のせいであると悔やみ、ルシファーの中に秘められた欲望、憎しみを癒そうと消息を探し続けました。


そうしてラファエルは毎回のこと、ルシファーに会っては駆逐されました。


天使だけの力では勝てないことがわかったラファエルはミカエラの命令により、天使の力を宿した『最後の希望』(ラストホープ)を人間に授け共に戦うことを誓ったのでした。


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「はい、今日はここでおしまい」

アルはそう言い本を閉じた。


「えー、なんでよー!続きが気になりますー」

とミオは顔を膨らませる。


「だって、ミオこれから稽古の時間じゃないか」

アルは15時に針を指している時計を見ながらそう言う。


「そうでした。そうでした。ミオの稽古を覚えているなんてさすが兄様ですね!」


「いいから、はよお行き」


「はーい」

ミオは急ぐことなく後ろに手を組んで歩き始めて行った。


ミオが部屋を出て行ったことを確認すると先程までの笑顔は消え、思い詰めた表情に変わる。


--ミオ、兄さんは『最後の希望』を扱える家系に生まれてきてもミオみたいに証を持たないから天才でも憧れられる存在でもないんだよ...


--兄さんもミオみたいに強くなれるかな?


と今日もまた同じ考え事をするのであった。























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