第7話 エピローグ。

 翌日、オレはケイタと姉を部屋に呼んだ。

 昨夜、ポメがやってきた事を話す。

「え?」

 ユウキは驚いた。

「ポメならずっと家にいたぞ?」

 困惑を顔に浮かべる。

「ポメは自力でやってきて、自力で帰って行った」

 オレは説明した。

 突然現われたり消えたりしたことを伝えると、ユウキはなんとも微妙な顔をする。

「うちの犬は大丈夫なのか?」

 ポメの心配をした。

「オレが力を使わなければ、現われないから大丈夫だと思う」

 オレはユウキを安心させる。

「この力を使い続けると、そのうち魔王認定されそうなので、もう使わないつもりだし……」

 言い訳していたら、姉とユウキが2人が同時にえっと言った。

「魔王認定って何?」

「どういうこと?」

 ユウキと姉が口々に質問してくる。

「落ち着いて」

 オレは2人を止める。

「順序立てて話すから」

 昨夜のポメとの会話を掻い摘まんで説明した。

「……」

「……」

 2人は暗く沈んだ顔をする。

「わたしがケイタを魔王にしてしまったなんて……」

 姉は落ち込んでいた。

「いや、最後に力を使わせたのはオレだから……」

 ユウキが自分のせいだと主張する。

「いや、まだ魔王にはなっていないから。……たぶん」

 オレはいまいち自信なく、呟いた。

「魔王になったら、勇者とか出てきて討伐されるの?」

 ゲーム世代のユウキはそう質問する。オレと同じ発想だ。

「いや、それは……」

 オレは言葉に詰まる。

 正直、よくわかっていない。

「ケイタが力が使い続けたら、そうなるかもしれないな」

 不意に、自分たち以外の声が響いた。

 ポメがどこからともなく現われる。みんなの真ん中に鎮座していた。

「ポメ!? どうやってここに?」

 ユウキが軽くパニくる。

「その説明は面倒だから省く」

 答えるつもりがないポメははしょった。

「とにかく、討伐されたくなかったら力を使わせるな」

 至極尤もなアドバイスをする。

 偉そうにふんぞり返った。

「……」

「……」

 姉とユウキは互いを見る。

「「わかった」」

 2人とも真面目な顔で頷いた。

 それを見ながら、これから自分は魔王として生きていくのかもしれないと、不思議な気持ちになる。

(前回は世界を救うヒーローになれと言われたような気がする)

 心の中でぼやいた。

 気づいたら、魔王ってどういう展開だろう。

(善と悪は表裏一体と言うことかな)

 そんなことを考えながら、勇者に討伐されることだけは避けようと心に誓った。




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イシガミケイタ15歳。理由あって、魔王と呼ばれています。 みらい さつき @miraisatuki

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