第6話 約束。

 オレの話をホメは黙って聞いていた。

「それで付き合うことにしたのか?」

 ぼそっと問われる。

「そうだよ」

 オレは頷いた。

「なんか、軽くないか?」

 困惑したように問われる。

「どんな内容を求めていたんだよ」

 逆にオレは聞く。

「どんなって……」

 ポメは考え込んだ。

「葛藤とか、悩んで、ぶつかって、きゅんとするような展開とか……」

 答える。

「そんな少女漫画みたいな展開、現実にはそうないだろ」

 オレが苦笑すると、ポメは何故かショックを受けた。ガーンと言いたそうな感じで固まっている。

 そんなポメをオレはつんつんとつついた。ちょっと面白い。

「突くなっ」

 ポメは嫌がった。ぶるぶるっと身体を震わす。

「毛が飛ぶ」

 今度はオレが顔をしかめる番だ。

「なんだ。つまらない。思っていたのと、違う」

 ポメは文句を言った。

「期待に添えなくて悪かったな」

 オレは言い返す。

「……まあ、いい」

 ポメは呟いた。

「今日の仕事は、ケイタに釘を刺すことだ。それは終わったから、よしとしよう」

 1人、納得している。

「帰るのか?」

 オレは聞いた。

「ああ」

 ポメは頷く。

「二度と、出てこなくて言いようにしてくれ」

 その言葉に、頑張るとオレは返事をした。



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