直感
独白世人
直感
今、僕がそれなりの人生を送れているのはあの時の直感に従ったからだと思う。
「最高の人生ってどんな人生だと思う?」
彼女は唐突にこんな質問をしてくるような女だった。
日曜日の朝、まだベッドの上で夢と現実の狭間を彷徨っている僕に、彼女は話しかけてきた。スベスベした足を僕の足に絡ませる。少しヒヤリとした彼女の体温が心地良かった。そして彼女の左手は、僕の朝立ちしたアレを握っている。
「んー。やっぱり夢が叶ったりする人生じゃないの」
「そうだよね。アタシもそう思う」
彼女の夢は犯罪心理学を追求することだった。
この会話をした次の日、僕は彼女に別れを告げた。この女は危ない、と遺伝子レベルで僕の脳味噌がそう判断したのだ。
一瞬、彼女の表情は固まったが、「そうね。そうしましょう」と即答した。
嫌悪感で溢れたその時の彼女の顔を僕は一生忘れない。裏切り者を見るような目をしていた。
それから十三年後、彼女が夫を殺したというニュースをテレビで見た。彼女はワイドショーを騒がせ、美しすぎる殺人者とネットでも話題になった。彼女は殺人の動機を「どうしても分からないことがあった」と話しているそうだ。
果たして彼女の人生は最高のものとなったのだろうか?
直感 独白世人 @dokuhaku_sejin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます