ラノベ師として雑な異世界転生を防ぐことにしました
々 六四七
え! 俺がラノベ師!?
今日も俺、
「おじいちゃん、今日もつらかったよーっ」
おじいちゃんはいつも俺を完全に受け入れてくれた。父と母に
「おじいちゃん?」
返事が無い。いつも奥の
「おじいたん!」
おじいちゃんがひっくり返っていた。気が動転し、うっかり幼児時代の呼び方をしてしまう俺。
「ぐぐぐ、ケンか……わしゃもうだめじゃ」
おじいたんは
「これは……」
「デスされノートじゃ」
「デスされノート?」
「そうじゃ、そのノートは一族代々
「なぜ、
「おまえもラノベ
俺はラノベが大好きだからもちろん知っている。一時間に五回は無料ラノベ
「異世界は知っているよ、しかも心のどこかで、さらっと実在するって信じてもいた」
「すでに信じているのはなんじゃか問題じゃが、それは良いとして、
「悪いことをしていないのに、異世界の養分に………なんて悪い」
「転生させた人がどうなってもかまわない、彼らが世界を救おうが死のうがかまわないんじゃ。最近は
「……もしかして、おじいたんの本棚にある新しいラノベ、【スワンボートを
おじいたんはコクリと頷く。
「わし最後の戦いじゃ。表紙のスワンボートを追いかける、お供のアヒル型ボートを
俺は、【スワンボートを
「なんということだ、お、おじいたん……表紙絵は
表紙絵は典型的な
その時、デスされノートが光り輝き始める。
「いかん、新たに罪のない者がデスされようとしておる……ケン……頼む、その者を救うのじゃ」
俺は、いつの間にか本棚に新しいラノベが追加されていることに気がついた。
「【無限焼きそばパン
「
「与えられるスキルが、確かに雑すぎる。無限に出せるなら、なぜ買いに行かねばならんのだ」
パアンッ
俺は頬に痛みを感じる。おじいたんが俺の頬をビンタしたのだ。
「しっかりせえ! ケン、おまえはそういう斜めからのラノベの読み方が好きじゃろう。すでに
「そうか、なぜ買いに行かねばならんというツッコミをさせる事、これすでに
デスされノートの光が増し、俺を包み込んでいく。体にどんどんと力がみなぎってくる。
「ケン、これが二千年間引き継がれたラノベ師の力じゃ、受け継いでくれ……頼んじゃぞ」
もはや輝きで何も見えないくらいだ。
「でもおじいたん、ラノベって二千年前からあったんだね」
「…ケン…
「おじいいたーーーん」
光が収まるとおじいたんの姿は、蒸発でもしたかのように消えていた。
「おじいたん、あんたは最高のラノベ師だったよ。ただひたすらに
おじいたんとの別れを悲しんでいる時間は俺には無い。罪無き転生を防がねばならないのだ。
おれはデスされノートを開く。そこには対象者とその死因が浮かび上がっていた。
―山岡浩二郎、中学生。くしゃみを我慢した勢いで焼きそばが鼻に詰まって死ぬ
「ちくしょう! 死に方も雑だ、あまりに雑すぎる。転生トラックにひかれる方が絶対いい。変にひねる事でスベっている。タイトルの
【無限焼きそばパン
に
俺は念じると、自分の中学へと向かい途中の
山岡浩二郎は、俺から乱暴に焼きそばパンを奪い取る。
「んだよ
そして焼きそばパンを一気に頬張る。
「ふんぐ…ふんぐ…クシュウウン、うぐぐうううう……」
山岡浩二郎はくしゃみを我慢した勢いで焼きそばが鼻に詰まって死んだ。きっと今頃、雑すぎる異世界に転生していることだろう。
「ざまぁ」
俺はラノベ師としてこの
俺は屋上で沈み行く夕日を眺めながら誓ったのだった。
おじいたんの
*感想・レビュー・評価など、少し思ったことでもかまいませんのでよろしくお願いします! 執筆の元気になります*
ラノベ師として雑な異世界転生を防ぐことにしました 々 六四七 @topologic_dream
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます