君の見てる世界は私は違っている
「君の見てる世界を大事にしてほしい。他者の見てる世界を見ようとしなくていい。つまりは、そういうことだよ」
私は恋人の彼に、そう言った。
――君の見てる世界は私と変わっている。
彼が見てる世界は、私には見えない。
「ある意味、その平社員さんは間のいい人だったのかもしれませんね」
友人たちと笑う私を見て、君は小さく微笑んだ。
私ならもっと難しく考えたり、本質を捉えようとしちゃうから、素直な君の言葉がとても眩しく美しく見えて、そのままストンと心に落ちた。
こういう時、やっぱり思うんだ。
君と私は全くの別の生き物で、同じ場所にいても違う角度から物事を捉えて、同じ物を見てるのに全く違う見え方をしている。
でもそれがとても心地よくて、だから……。
「君の見てる世界を大事にしてほしい。他者の見てる世界を見ようとしなくていい。君は君で、そんな君が好きだよ」
少しお酒に酔っていたのかもしれない。
心に留めようとした気持ちは言葉となって口から飛び出して。
君は驚いた顔をした後、両手でその真っ赤になった顔を隠した。
その両手の先には、くにゃりと
惚気か!と夏貴や冬華には囃し立てられたけれど、その騒がしさは、今の私にはとても心地よいもので。
世の中は十人十色。
同じ世界に生きていても、自分と全く同じ世界を見てる人は存在しないことを、きっとみんな心のどこかで知ってる。
自分と同じように世界を見る必要もないということも。
君のことは、君だけが見ていることだけでいいし、いつもより騒がしい私たちの部屋が、こんなに幸せで色鮮やかに映るのは、私だけもでいい。
私の恋人の見てる世界は、きっと変わっているのだろう、けれど。
私たちの視てる世界は、私たちじゃない誰かとは違っているのだろう、けれど。
――私たちは同じ世界で、愛し合って生きていく。
僕の彼女の見てる世界は少し変わっている うめもも さくら @716sakura87
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