風俗街
九十九ひろひろ
風俗街
とうとうこの街にやってきた。
ぼくは今日、はじめてを捨てる。
20歳の誕生日にこの街に来ると決めていた。
ここは「風俗街」エロイおねえちゃんしかいない街だ。
この街にには特別な人間しか入れない。
僕はこの街に行くためだけに、20年間生きてきた。
したくもない「ボランティア」も続けた。
無駄遣いせず、入場料をためた。
そしてとうとう、入会券を獲得した。
ガラガラポンで金の玉が出た時、天を仰いだ。
神は僕を見捨てなかった・・・・・・と。
これで、風俗街というパライソに行ける。
最高にhappyだ。
今日の日のために背広を買った。
風呂も入った、歯も磨いた。
胸のドキドキが止まらない。
電車が「風俗街」で止まった。
駅の改札を抜けると目の前に案内所があった。
案内所に入る僕。
黒のスーツを着たコンシェルジュが出てきた。
コンシェルジュ「宜しければ、案内致します」
僕「お・・・・・・・お、お、おまかせします」
コンシェルジュは静かに、電話をかける。
数分後、黒いデカイ車がやってきた。
車からプロレスラーのようなゴツイ男が出て来て
後部座席のドアを開けた。
「お待たせしました、お客様」
僕は、かなりビビリながら、デカイ車に乗った。
こんなデカイ立派な車ははじめてだ。
そして静かに、車が走り始めた。
胸の鼓動が止まらない。ドキドキが止まらない。
そしてきらびやかな店の前に車が止まった。
「ゴクリ」思わずツバを飲み込んだ。
僕の初体験がとうとうはじまる。興奮が止まらない。
車を降りた瞬間に「カチリ」という音がした。
何かを踏んだ音だ。ヤバイ、これはヤバイ。
大声で叫んだ「ちょっと待ってくれ」、最悪の罠「振出しに戻る」が発動した。
悲しいことにスタート時点に戻った。そう「ガラガラポン」会場だ。
しかも前のヤツが金の玉を出した。
今回の金の玉は終了だ。
・・・・・・・・また、一から頑張ろう。幸せの町を「風俗街」に行くために。
この世界では「風俗街」を夢見て、少年たちは大人になっていく。
風俗街 九十九ひろひろ @hirohiro123000
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