地に足の着いた斬新さ。

 地に足に着いた――とは、王道的な作品によく使われる表現です。
 ですが意外性のある斬新な作品とは、『遠くの物』を掛け合わせることで誕生します。
『魔王』と『勇者』を掛け合わせたところで、今ではもう既視感のある作品になってしまうでしょう。
 しかし『魔王』と『保育士』ではどうでしょうか?
 作者様は、そのどちらもとても『遠い物』を掛け合わせ、予想の付かない斬新な物語を誕生させました。

 ですが、この物語は斬新で意外性があるだけではありません。
 一発芸的な、ネタに走った作品ではありません。
 それはなぜか。
『保育士』の仕事とは、戦いとは、例えそれが異世界であろうとも、限りなく現実的だからです。
 現実の中の現実だからです。

 異世界の魔王の城という一番現実からかけ離れた場所で演じられる、一番現実的な戦い。

 地に足の着いた、斬新な異世界物語。
 オススメです!

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