主人公の記憶に隠されたこの国の真実とは?!

【簡単なあらすじ】
ジャンル:ハイファンタジー
舞台は皇歴1024年。この国では1000年前に英雄・初代王の剣は魔神・天修羅を倒し、大陸に平和をもたらしたとされている。主人公はその物語を母から読み聞かせられ、自分も英雄になりたいと夢を抱いていた。しかし、ある時事故で記憶を失ってしまう。治療により夢を抱いてきた記憶を思い出し、初代王の剣が使った刀が祀られている神社へ向かうのだが……!

【物語の始まりは】
主人公が母より、物語を読み聞かせして貰う所から始まっていく。まだ子供だった主人公は読み聞かせてもらった絵本により英雄になりたいと夢を抱く。だが大人になった主人公は英雄になるどころか……!

【舞台や世界観、方向性】
皇国が唯一この大地を収める国であり、その統治は1000年以上続いている。
『王国記』王子と剣士身分の違う二人が協力し合い、国に平和を取り戻すまでの物語であり史実のようだ。
妖も存在する世界。
この物語は両サイドから語られており、主人公の境遇や過去については両視点からわかって来る。

【主人公と登場人物について】
本編に入ると主人公は21歳へと成長。何か事情があって記憶を失ってしまっているようである。
記憶を失った主人公ではあるが、近所の人や家の者との関係は悪くはない。
門……見た目は女性のように美しい男性で子供たちに剣術を教えている。主人公にとっては記憶を失った自分に色々と教えてくれる恩師である。

【物語について】
プロローグの後21歳へと成長した主人公は、記憶を取り戻すための治療を受けているところから展開されていく。何故記憶を失ってしまったのか? 冒頭の方ではまだ理由は明かされてはいない。記憶の一部は取り戻せたようなのだが、あまり嬉しそうではない。彼にとっての恩師曰く、記憶が戻った時の方が落ち込んで見えるらしい。その日に題材を聞いた恩師は、主人公に外で授業を行おうと別荘の外へ連れ出すのだった。

建国の歴史と関係のある刀預(とうよ)神社。それは二人が現在生活をしている市に存在している。そこへ二人が向かうと不自然な人だかりができていたのである。この物語では、記憶を失った主人公と共にこの舞台の背景や設定について学ぶことができる。そこである事件が起きてしまうのだが、同時に主人公がある記憶を取り戻したきっかけともなっている。主人公たちは、この日たまたまここに来たため、巻き込まれ王女殿下に協力することになる。まだ部分的にしか記憶を取り戻していない主人公だが、どう関わっていくことになるのだろうか?

【良い点(箇条書き)】
・読者というのは、物語に対して無知な存在である。ファンタジーを含む物語での難点は舞台設定が細かければ細かいほど説明が多くなるところである。この物語では主人公が記憶喪失な為、教わるという形でこの世界のことを学んでいく。それは読者にとってもわかりやすいスタイルとなっている。
・プロローグが何処に繋がるかは、物語によって違う。この物語では主人公はどうなってしまうのか? という謎を残したまま始まっていくが、意外な展開でその先に繋がっていく。
・誰が正しくて誰が間違っているのか? 物語が進むにつれこの国の真実に近づいていくのも面白い。
・主人公の記憶に鍵があるのではないか? と先の展開が予想できず気になる。
・疑念を抱かずに読み進めてしまったが、後から伏線に気づき驚かされる。

【備考(補足)】22ページまで拝読
【見どころ】
この物語は国家と反逆者、どちらが敵で味方で、どちらが正義で悪でという単純な物語ではない。主人公の失った記憶に大切な何かがあり、そこに真実が隠されているように感じた。物語が進むと明かされていくが、主人公が記憶を失った経緯を考えると、もしかしたら回避の出来るものだったのかも知れない。しかし彼の能力はレアなものであり利用される可能性はあった。結果失敗に終わったということである。冒頭の方では明かされてはいないが、主人公は想像以上に長い間の記憶がなく、思い出せるのはその事件より以前のことだけのようだ。そして彼が真に知りたいことが、真実や核心に繋がる可能性はある。恐らくそれは、これから徐々に分かって来ることなのだろう。伏線が散りばめられており、謎のめいた部分がどういう形で明かされていくのかも見どころの一つである。
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?
記憶を失くしても、英雄になりたいという気持ちを持ち続けた主人公。彼の記憶からどんな真実が明かされていくのだろうか? この先の展開をその目で是非、確かめてみてくださいね。おススメです。

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