第28話 あとがき

 本書をここまで読んでくださった皆さまに、心より感謝申し上げたい。幼少期からの苦しみ、いじめ、精神疾患、海外での経験、そして幾度となく繰り返される挫折と再出発――それらは私自身にとって決して整理のついた出来事ではなく、今もなお胸の奥でうごめき続けている。


 しかし、それでも筆を取った理由は明確である。私が歩んできた人生の記録を残すことは、単なる自分語りでも、同情を引くためでもない。この物語の終盤で触れた、中国で行われている猫の拷問ビジネスの存在を、一人でも多くの人に知ってほしかったからだ。


 人間社会の影で無力な動物たちが苦しめられ、金のために命が消耗品のように扱われている現実を、私はどうしても看過できなかった。中学時代、孤独な私を救ってくれたのは猫だった。その恩を思うと、今、どこかで痛めつけられ命を奪われていく猫たちを前に、黙っていることはできなかった。


 本書は、自分史であると同時に、私から読者への「お願い」であり、「告発」であり、「祈り」でもある。どうか、この問題について心の片隅に留めていただければ、それだけで十分だ。あなたが誰かに話してくれれば、世界はほんの少しだけでも変わるかもしれない。


 最後に、私を支えてくれた家族、医療者、支援者、そして音楽や武道を通じて出会った方々へ深く感謝したい。人生は決して思いどおりにはいかない。だが、それでも続けていく価値がある。たとえ心や体がボロボロでも、誰かの優しさや小さな光が、再び歩き出す力になることを私は知っている。


 この拙い書を手に取ってくださったすべての方に、改めてお礼を申し上げたい。どうか、あなたの人生にも小さくとも確かな光が届きますように。


 加福 博

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双極性障害と猫たちへの祈り 加福 博 @Donnieforeverlasvegas

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