くたびれた中年男と訳あり少女のバディが魅力の作品です

「異世界行商人」――危険な場所でも構わずに、顧客の望むものを探し出そうとするこの職業は、どこかトレジャーハンターのよう。
それが異世界への旅ともなれば、読み手の冒険心は自ずとくすぐられます。
さらに、そこへ少女が現れて共に仕事をこなすこととなる。
この「くたびれた中年の男」と「幸薄そうな訳あり少女」二人のバディは、それぞれのキャラクターは違えども、やはり映画『レオン』などを彷彿とさせ、その時点で萌えもワクワクも感じられるでしょう。

こうした設定面でも、大きな魅力が詰まっていますが、文体や作品の展開でも楽しませてもらえます。
丁寧ながら嫌味、かつ、とぼけた語りは、大変な事態が起こっているさ中でも、ポップで楽しい味わいを醸し出していますし、物語がクルリと形を変える第3話では、切なさとともに「なるほど」と手を打つような感覚も味わえます。

この物語だけでも完結していますが、シリーズとしても楽しめそうだと期待もできる作品でした。

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