この手のクールキャラは嫌われやすいのですが筆者の描写がとても上手で不思議な魅力を感じます。
いわゆる不良が子猫を拾うとかっこよく見える現象と、心理描写そしてキャラの立たせ方が物凄く上手です。
あと文章に無駄がなく、ストレスを感じないため頭に内容がスルスルと入っていきます。
自分も短編作を書いたので分かりますがこれだけスマートに書いてこれだけの情報量を書ける腕は素晴らしいと素直に思いました。
ライバルの作品にあまりこんなことは書きたくないのですが、この作品のコミカライズ見て見たいなーというのが素直な感想です。そして続きが見て見たいです。
お互い賞に向けて頑張りましょう!
おっさんが、少女と出会う、異世界で。
これはドラマ。そう、ドラマの予感がする! 三十路というのもなかなかいい!
とおもいきや!? このおっさん、なにやら気だるい!? いや、淡々と異世界行商人として仕事をこなす。確かに仕事が出来る人なんでしょうけど⁉ 最初、およそドラマが生まれる感じはしませんでした。
でも、そうではなかった!
ここにドラマがうまれます。いえ、正確に言えば生まれた気がします。
二人の出会いの物語は確かに完結。でも、これはこれからの物語のプロローグ。
多くの方がそれを予感しているでしょう。
秘密を抱えた少女と異世界行商人のおっさん。
世界を超え、二人があなたに届ける物語。その始まり。
さあ、皆さんも、どうですか?
「異世界行商人」――危険な場所でも構わずに、顧客の望むものを探し出そうとするこの職業は、どこかトレジャーハンターのよう。
それが異世界への旅ともなれば、読み手の冒険心は自ずとくすぐられます。
さらに、そこへ少女が現れて共に仕事をこなすこととなる。
この「くたびれた中年の男」と「幸薄そうな訳あり少女」二人のバディは、それぞれのキャラクターは違えども、やはり映画『レオン』などを彷彿とさせ、その時点で萌えもワクワクも感じられるでしょう。
こうした設定面でも、大きな魅力が詰まっていますが、文体や作品の展開でも楽しませてもらえます。
丁寧ながら嫌味、かつ、とぼけた語りは、大変な事態が起こっているさ中でも、ポップで楽しい味わいを醸し出していますし、物語がクルリと形を変える第3話では、切なさとともに「なるほど」と手を打つような感覚も味わえます。
この物語だけでも完結していますが、シリーズとしても楽しめそうだと期待もできる作品でした。