7.最後の七曜‐日曜日と一週間(オールキャラ)。
日曜日、それは古来から存在する絶対の安息日。
土曜も現在は人間の制度の都合で、おやすみ。
しかし、土曜日には祝日振替が適用されず、仏の土曜は時々、祝日イーターと化してしまう。
それを考えたら、日曜日はブレない安定の安息日だ。
(昨日の会話おさらい)
「土曜日って祝日かぶると振替にならないよね」
「日曜日は月曜に振替されるけど土曜日が祝日だとなんにもならないよね」
「むしろ祝日が無駄になってる感、半端ないよね」
そんな話題から、七曜たちの話は、この安息日に発展を見せていた。
振替談義はさりげなく、続いている。
「それを言うなら、水曜祝日とかめっちゃ使いづらいんだよ。やっぱ祝日は金曜で三連休だろ」
「水曜休みだったら一週間もたない人が喜ぶ。むしろ間に休むのが大事」
「それは働くことに重きを置いた考え方だ。むしろ我が月曜が祝日になってこそ、真の連休ぞ」
曜日たちが、日曜日に入って勝手なことを言い始めている模様です。
「まぁ今週はふつーに平日五日、休日二日だったのだから仲良くしましょう」
火曜日、仲裁に入る。
「図書館、博物館などの公共施設は大体月曜休館だ。お前はそいつらにとってラスボスなんだよ、月曜日なんだよ!」
金曜日、二重人格モード発動しっぱなし。
「僕はどっちにしても立ち位置が半端だから、なんでもいいや」
木曜日、休日モードでこたつに入りながら菓子を食いだす。
「ほほう? 月曜日を制御しながら柔軟に立ち位置を調整する私がラスボスですか。私が暴走したら翌日の水曜が止められると?」
「大体なぁ、週休二日っていうのがそもそもおかしいんだよ。実際、どんだけ週休二日の奴いるの? 割合的に週休二日の方が本当に多いの? そいつら土日に出かけたとき、対応してんの誰だよ」
「サザエさん症候群なんて言葉が浸透するくらいだから多いのは間違いないだろう。しかし、そう考えるとコンビニでレジ打ったり、深夜勤の警備員や看護師なんかもいるわけで……」
水曜日、冷静に現実に気付く瞬間。
「いずれにしても我が魔王としての知名度は不滅なり!」
「月曜は元ネタのツイッターで、試練に転職したりちゃっかりバカンス行こうとしたりしてんだろ! キャラブレまくりなんだよ」
「魔王としての地位は揺るがぬ!」
「途中まで一人称が私だったのにさりげなく変わっている事実をなかったことにして原点に戻るところは、評価したい」
「そこはブレっぱなしってことだよ!」
結局のところ。
「祝日が一日入っただけで、僕らの立ち位置も変わるしねぇ」
こたつから木曜日。
「あっ、日曜日。みかん食べていい?」
無言でうなずく日曜日(←いた)。
「魔王には配下が必要だ。お前ら後発の平日はしょせん我が月曜日の配下なのだ!」
「ふざけんな。毎週踏破されて日曜まで到達されてる時点でお前は、ただの門番だ。次の一週間に入るためだけのゲートキーパーだ。ってかキープできてない!」
日曜日は、明日の月曜日に備えてか、夜の活動は控えめになる。
人々は土曜日ほどにフリーダムではない。
結局、週休二日とは何なのか。
日曜日は問いたい。
「じゃああれか。ゴールデンウィークで一日だけ間に挟まっちゃう曜日(やつ)。あれは年に一度だし大魔王か何かなのか」
「いや、あれ間につぶされて休みに吸収合併されちゃうこともあるから、場合によっては小物」
自分の存在意義は何なのか。
日曜日は黙したまま、同胞たちを眺めやる。
「シルバーウィークって敬老の日挟むんだっけ? お年寄りなイメージだよね」
「それ、シルバーシートな感じのイメージだろ」
「いま、シルバーシートとか言い方ないんじゃね? 優先席だろ」
曜日は人によって意味が変わるように、
毎日毎日、全員同じことをしていたら、退屈ではないか。
日曜日は思う。
「もう働いたら負けだ。全員祝日になればいい」
「そうだな、どっちにしてもオレたち全員週休6日だしな」
曜日の役割って、そもそも、何?
着地点は不明のまま、今週も一週間が終わろうとしていた……
【七曜ストーリー - ラスボスからはじまる一週間。】 梓馬みやこ @miyako_azuma
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