この作品は裏切らない

この作品を一言で評するなら、上記レビュータイトルの通りです。
別の言い方をするなら、『読者の求めているものがそこにある』でしょうか。

まず、分かりやすさ・読みやすさ。
この作品は、文体も構成も、非常に明快に書かれております。「読みにくくて辛い」なんてことは一切起こらず、ストレスなく物語を楽しめるでしょう。

第二に、キャラクター性。
登場人物が多い本作ですが、それぞれかなりキャラが立っており、魅力に溢れております。恐らくどなたでも推しキャラを作ることが出来るでしょう。また、個々のキャラクター性だけでなく、キャラクター同士の関係もうまく描かれており、1+1を100にするような、そんな読み応えがあります。
そして何より、この点についても上述の『分かりやすさ』が発揮されております。「キャラクターが多くてごちゃごちゃしてる!」なんてことは全くなく、むしろたくさんのキャラクターの個性が、この作品を魅力的に仕上げています。

最後に、王道と意外性。この2つの使い分けが抜群に上手いです。
作品を読んでいると、「多分こういうキャラクターなんだろうな」「こういう展開なんだろうな」と思うことはあるかと思われます。いわゆる、定番・王道と言われるものですね。これがあることで、読者はある程度次の展開を予想することが出来ます。再三言いますが、『分かりやすさ』に繋がるものです。この作品にも、そのような要素は見られます。
ただ、この作品はそこで終わらせません。読者が『ある程度』予想していた王道を、上手い具合に裏切ります。この意外性が良いスパイスとなって、キャラクター、そして物語を彩ります。『分かりやすさ』のための王道、『面白さ』のための意外性、この二つの使い分けがべらぼうに上手いです。

総評すると、読者のための『分かりやすさ』、『面白さ』があり、そして魅力的なたくさんのキャラクターがいる、というところでしょうか。気軽に読める上に読み応えのある作品なので、皆様もぜひ読みましょう。

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