僕らが望んだあるべき未来

これは異星人との戦争の話だ。しかし、それ以上に"あるべき未来"の話でもある。
私たちが異星文明の邂逅としてよく想像するのはこんな未来だ。人類は彼らから破滅的な侵略を受けるだろう。政治は足を引っ張るばかりで、人々は虐殺され、遺伝子資源は根こそぎ奪い尽くされるだろう。残された人類は異星文明の奴隷として、あるいは彼らを殺し尽くすことを誓った復讐者になるだろう。戦争は終わらない、人類か彼ら、どちらかが滅びるまで。
けれど、そんな未来を私たちは望んでいるのだろうか。
断じて否である。私たちが望むのは、人類が毅然と立ち向かい、そして日常を取り戻すことだ。何度間違えても、負けても、必ずそれを果たすことだ。
ともすれば理性的な登場人物たちの行動は退屈に思えるかもしれない。けれども、地に足をつけたありふれた理性こそが、もっとも確実に私たちを未来へと連れて行ってくれるはずだ。
これはなにかと足を踏み外してしまいがちなSFというジャンルにおいて、そんな"あるべき未来"を見せてくれる稀有な作品だと思う。

それはそれとして、本作は戦闘シーンも大変素晴らしい。「神格」は巨大な変身ヒーローの解釈としてロマンと実用を兼ね備えた素敵なギミックとなっており、男の子なら思わずときめいてしまうだろう。巨大兵器の近接戦闘はロマン。

もう一つ補足するなら、外伝と銘打ってはいますがどう見てもこっちが本編です、本当にありがとうございました。

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