1980年代辺りから現在に至るSF作品が描く未来の世界は夢も希望もなく人類全体に襲い掛かる苦難に対しても一致団結することもなく民族、宗教、思想等の分断による混沌とした世界観の作品ばかり見受けるように感じてます。
そして現実世界でも東西冷戦がソ連の崩壊と共に終了して世界が平和になったかと思えばSF作品で描かれる様な混沌とした紛争が世界各地に吹き上がり現在進行形でロシアという大国がウクライナという小国へ対して世界大戦以前レベルのモラルが低い侵略行為が行われています。
日本はまだなんとか平和だけど円の下落や流通の悪化に、お気持ち優先で原子力発電を抑制する意味不明な状況がいつ改善するかよくわかんないです。
現実がフィクションを超えてしまい夢の21世紀なんて無かったとガッカリするこの時代だからこそ少しくらい未来への希望を感じられる物語があって欲しいじゃないですか
この「少年と父と」という作品は神々を名乗る異星人の侵略に対し人類が一丸となって異星人に戦いを挑み神を自称する異星人を超えて行こうと試行錯誤を繰り返してゆく物語です。
タイトル通りその試行錯誤は一朝一夕ではなく世代を超えてバトンが渡されてゆきます。
バトンを持って奔走する人々、バトンを渡される人々全てが魅力的に描かれ希望を感じられるのです。
希望を感じられる物語をと欲する方へお薦めしたい作品です。
これは異星人との戦争の話だ。しかし、それ以上に"あるべき未来"の話でもある。
私たちが異星文明の邂逅としてよく想像するのはこんな未来だ。人類は彼らから破滅的な侵略を受けるだろう。政治は足を引っ張るばかりで、人々は虐殺され、遺伝子資源は根こそぎ奪い尽くされるだろう。残された人類は異星文明の奴隷として、あるいは彼らを殺し尽くすことを誓った復讐者になるだろう。戦争は終わらない、人類か彼ら、どちらかが滅びるまで。
けれど、そんな未来を私たちは望んでいるのだろうか。
断じて否である。私たちが望むのは、人類が毅然と立ち向かい、そして日常を取り戻すことだ。何度間違えても、負けても、必ずそれを果たすことだ。
ともすれば理性的な登場人物たちの行動は退屈に思えるかもしれない。けれども、地に足をつけたありふれた理性こそが、もっとも確実に私たちを未来へと連れて行ってくれるはずだ。
これはなにかと足を踏み外してしまいがちなSFというジャンルにおいて、そんな"あるべき未来"を見せてくれる稀有な作品だと思う。
それはそれとして、本作は戦闘シーンも大変素晴らしい。「神格」は巨大な変身ヒーローの解釈としてロマンと実用を兼ね備えた素敵なギミックとなっており、男の子なら思わずときめいてしまうだろう。巨大兵器の近接戦闘はロマン。
もう一つ補足するなら、外伝と銘打ってはいますがどう見てもこっちが本編です、本当にありがとうございました。