終章 そして神々はいなくなった―――西暦3052年

ファースト・コンタクト

【西暦三〇五二年 第二の故郷グ=ラス・イュラグ


この惑星の色は蒼である。それも、どこまでも澄み渡った。惑星全土を覆う濃密な大気と、深い海。そして海岸沿いでも大きく茂る、青みがかった不可思議な植物群がそうさせるのだ。

そうした世界の海面すれすれを、執政官ド=アテは飛翔していた。この惑星の原住生物。四対の翼に長い尾びれを備えた海洋飛行生物グゥリの背に跨って。

後ろに跨っている息子の震えが伝わってくる。まだ十歳の彼は、ド=アテの胴をぎゅっと抱きしめた。

「怖いよ父上……」

「はは。平気さ。我々は千年以上、グゥリと一緒にこの星の海を飛んできた。それにここは落ちても海だ。大したことはない」

彼らが跨っている、グゥリと呼ばれる特異な大型魚類は飼育されたものではない。長年の関係を保った個人を信頼して背に乗せるのだ。時に五十年以上生きる彼らとこの惑星に住まうは、生涯のパートナーとなることもある。

足元に目をやれば奇麗だった。高速で流れていくのは陽光できらめく海面。飛び跳ねる魚たち。水深数メートルの海底は岩肌を海草が覆い尽くして草原と化しているし、空に目をやれば大きな鳥や飛行性の爬虫類の姿も見える。

そして、その向こうに見える巨大な、硝子ガラスの惑星。

この星の連星である。双子星なのだ。

今より千二百年以上も前。二六〇〇光年もの苦難の旅の果て、ド=アテの祖先たちがたどり着いた時、双子星は今とは違っていたのだという。蒼と、そして黄金色に輝く美しい星だったのだと。祖先たちはまず、この第二の故郷グ=ラス・イュラグに降り立った。比較的温和な環境であり、独自の生態系が根付いていたからだ。もっとも組成の異なる濃厚な大気はフィルターなしでは呼吸が難しい。惑星を覆う生態系そのものもかなり異質だった。そんな中祖先たちは海中やあるいは生命の少ない高山地帯に都市を築き、元来の生態系を尊重しながら発展していった。

同時に、天空のもう一つの星。超高圧の硫酸の大気と四百度の灼熱に覆われた双子の星を何百年もかけて改造し、ついには故郷から持ち込んだ生態系の種をまくことに成功したのだ。現在ではあちら。第三の故郷グ=ラス・フォユスと名付けられた天体の方が、かつての故郷に近い環境だろう。

こうして、ド=アテたちの種族は居住可能な二つの惑星を手に入れたのだ。かつて超新星爆発で失われた樹海の惑星グ=ラスの代わりに。それだけではない。この星系を基点として、多くの開拓船が旅立った。かつての旅はさらに続いているのだ。現在二百光年もの勢力圏を築くことができたのは、この双子の惑星のおかげだろう。

このような歴史的経緯から、この惑星は首都でありながら勢力圏の端に位置している。勢力圏の反対側では今も開拓ラッシュだ。時折生命のいる惑星は発見されるが、知的種族にはいまだ出会っていない。これだけ宇宙に生命が溢れているのであれば、いずれは出会うのだろうが。

なんにせよ、ファースト・コンタクトの栄誉は自分には縁遠いものだ。ド=アテはそう思う。何しろここにたどり着くまでの二六〇〇光年では、知的生命体とは一度も出会わなかった。あちらでは超新星爆発があったから、向こうからやってくる可能性も低かろう。この星に腰を据えたド=アテには新たな出会いの機会がない。開拓に励む同胞たちが新たな発見を伝えてくるのを、待ち受ける立場なのだった。

そう。今、この瞬間までは。

物思いにふけるド=アテの携帯端末が震えた。グゥリの飛行を安定させながら、通話を入力する。

通信相手は秘書官だった。

『休暇中失礼いたします、閣下。問題が発生しました』

「どうしたのかね。そんなに慌てて。どこかで事故でもあったか」

『いえ。そうではなく―――。十二分前。星系内、ここから0・1天文単位地点に未登録の航宙艦が出現したのが観測されました』

「未登録?」

『はい。大型で、武装しており、何やら機械生命体マシンヘッド―――と言うには奇妙な形態の人型兵器を伴っております。我々の知るいかなる恒星間航行用艦艇とも異なる船です。そしてこれが問題ですが―――』

秘書官は、一拍置いてから口を開いた。

『どうやら彼らがやってきたのは失われし故郷グ=ラスの方角からのようなのです。各種観測から、十光年あまり先より超光速航行してきた痕跡が見られました』

「―――!コンタクトは?」

『まだです。急いでお戻りください』

「分かった」

通話を切ったド=アテは、足で海洋飛行生物グゥリの腹を軽く締めた。それだけで意図は伝わり、飛行経路をゆっくりUターンしていく。

背中から、息子の不安そうな声が響いた。

「父上……?」

「心配するな。故郷からのお客さんだよ。これはきっと、私が執政官になってから一番幸せな出来事だ」

ド=アテは、羽毛とくちばしを備えた顔でそう告げた。


  ◇


【国連航空宇宙探査局 探査船"マルコ・ポーロ"ブリッジ】


「―――降着終了。予定地点との誤差、0・8ポイント。予想範囲内です」「周囲のセンシング開始します」「神格部隊展開を開始。周辺の警戒に当たらせます」「船内、通常体制に移行させろ」

超光速航行直後の船内は騒がしい。張り詰めた緊張の糸が一挙に切れるからだろう。地球人類が恒星間航行技術を手にしてから千年が経つ現代でも、超光速航行は極めて難しい作業だった。失敗すれば大変なことになる。必然、その緊張は大きい。

それが無事に終わったことを知って、"はるな"理事はため息をついた。自分のような年寄りがこんな仕事に引っ張り出されるとは。いや、年寄りだからこそだろうが。

恒星間移民に成功したと思しき、神々の末裔と接触するというのがはるなとその幕僚たちに与えられた任務であった。

神々と実際に命がけで戦った世代は自分のような最初期の知性強化動物を除けば、後はわずかな数の人類側神格や一部の不死化処置を受けた人々しかいない。今はもう、あの戦いは歴史の彼方なのだ。

そう。知性強化動物と言う種族を生み出した科学者たちも。文明を必死で再建した人々の営みも。いずれも人類史の一ページとなった。偉業として記憶されているにしても。

神々は数を減らした。まだ絶滅するには時間がかかるだろうが、もはや彼らは人類の一員として生きることを選んだ。自分たちだけでは文明を維持できないからだ。それでも若者は生まれ、この船にも大勢乗っている。今回のコンタクトに必要だと考えられたから。

もちろん知性強化動物や、そして人間も大勢乗っている。今、はるなの後ろに控えている科学者の若者のように。

「都築くん。緊張してる?」

「いいえ。それほどは。相手は長い断絶があったとはいえ、未知の種族ではないですし」

「世代だなあ。私みたいな年寄りは、不安の方が大きくなるのに」

「はあ……」

都築刀火とうか。自らを生み出した男の末裔の言葉に、はるなは微笑んだ。人類はこの六世紀ほど大きな戦争をしていない。彼のような考えが主流になりつつあるのだ。過去に二つの異種族相手に死闘を繰り広げた、はるなのような世代ではこれは考えられない。価値観の相違と言う奴なのだろう。

「まあ、油断はしないに越したことはないわ。彼らとの接触するときは慎重に。けれど真正面から正々堂々と。ね」

「はい」

そうこうしているうちに、周辺のセンシングが終わったようだった。星系内の様子が明らかとなる。ほとんどは受動的に得られたものだ。

「おお…」

歓声が上がった。真っ先に映し出されたのが、蒼と硝子の輝きを宿す双子の星だったから。軌道塔がそれぞれの星に何本も見える。

その周囲を行き交っているのは多数の宇宙船。明らかに生きた文明である。

地球発祥人類として今、自分たちが初めてこの姿を目の当たりとしているのだ。

「あれが―――神々のもうひとつの故郷」

「恐らくね。どんなひとたちが住んでいるかは分からない。とても凶暴かもしれないし、平和主義者かもしれない。接触してみないと。

あれを目的地と認定します。仮称は樹海の惑星グ=ラス二号セカンドとしておきましょうか。ふたつセットでね。

さあ。接触手順を開始して」

はるなの言葉に、ブリッジが再び慌ただしくなった。これよりあの星に住まうであろう人々とコンタクトを取るのだ。

はるなは椅子に深く腰掛け、待った。相手が答えるのを。


  ◇


「これが彼らの機械生命体マシンヘッドか……」

連絡艇のスクリーンに表示された望遠画像を、ド=アテ執政官はまじまじと見つめた。

それは、獣神像だった。

素材が一体何なのかは分からない。転換装甲なのかもしれないが、それにしても極めて芸術的なデザインなのはわかる。小麦色を基調とした色合いで、戦衣をまとい、周囲を巡る幾つもの幾何学的構造からは翼が何対も伸びている。左手には盾。連絡艇よりはやや小さいほどの大きさのそれが、こちらをエスコートしているのだ。

来訪者たちの自律兵器だった。恐らく。兵器ではないのかもしれないが。

艇の反対側でこちらを守っているのは、味方の機械生命体マシンヘッド。相手よりはやや小型で、四肢と頭部を備えている。実際には頭部は砲塔であり、四肢に見えるのは攻撃肢だ。極めて高い知能と作業能力、そして亜光速戦闘能力を備えた破壊兵器である。いざというときは役立つに違いない。もっとも、その誕生以来実戦に投入された例はない。これからもなければいい。ド=アテはそう思った。そのために自分は危険を承知で、自ら出向いてきたのだから。後のことは残る二人の執政官に託してきた。そうせねばならないのだ。何しろ彼らは、失われたはずの故郷よりやってきたと宣言したのだから。

やがて。

巨大な船体の姿が目に入ってくる。

全長ははあるだろう。ほっそりとした構造に多数のセンサーやリング。そして武装が見て取れた。軍船なのだ。

「格納庫に入ります」

パイロットが告げる。先導するのは獣神像。それに続き、相手方の指示に従って、連絡艇がゆっくりと。船体の半ばに開いた空間へと入って行く。随行の機械生命体は外で待機だ。

やがて、ハッチが閉じた。格納庫に空気が充填されていく。

「気圧正常。降りられます」

パイロットが告げる。

そこで、ド=アテは驚くべき光景を目の当たりとした。

先に入った獣神像が霧散していく。それはたちまちのうちに薄れ、消滅。最後に残ったのは―――

「獣人……?」

軽宇宙服らしきものに身を包んだ、見知らぬ生き物がそこにいた。はこちらに恭しく一礼すると、片腕を広げる。格納庫の奥へと。

「執政官ド=アテ様。探査船マルコ・ポーロへようこそいらっしゃいました。さあ。こちらへどうぞ」

思わず、随行員と鳥相を見合わせるド=アテ。

「これが、彼らのテクノロジーか……中々に興味深い」

「大丈夫でしょうか」

「分からん。だが彼―――だか彼女だかわからんが、喋っていたのは我々の古語だよ。それが分かる程度にしか言葉が変形していないのはありがたいと言っていいのだろうがね。

行くべきだろう。ここまで来たら危険は変わらんよ」

連絡艇のハッチが開き、タラップが降ろされた。分子間力を用いた粘性靴で降りるド=アテと随行員一行。

獣人は、律義に待ち構えていた。明らかな知的生命体に見える。興味をそそられたド=アテは、相手に語り掛けた。

「私がド=アテだ。君は?」

「私はモンブラン。テュポンの、モンブランと申します。閣下。すぐに上司も参りますので少々お待ちを」

モンブランと名乗った獣人の言う通りになった。格納庫の奥からはさらに何人。いや何十人という、姿も様々なひとびとが現れたからである。大半がおおむねヒューマノイドタイプ。頭部は肉食獣や草食動物。角のある者。鱗を生やした者。鱗もない、乾燥した素肌を備えて頭部からのみ毛を生やした者などが出て来たのである。

そして、見慣れた姿の者たち。鳥相を備えたヒューマノイドタイプの者たちを認めたド=アテ一行はようやく、安堵した。それは同胞たちの外見的特徴そのものだったから。

「彼らは多様な種族の連合体なのでしょうか?」

「かもしれんな。まあ直接聞いた方が早そうだ。ここまで意思疎通に苦労しないのだから」

小声で話し合うド=アテたちの前に、異種族たちのひとりが出た。肉食獣の特徴を備えた、やや柔らかい体つきが軽宇宙服の上から見て取れる。

彼女は自ら名乗った。

「地球人類。国連航空宇宙探査局理事、九尾級"はるな"です。地球人類を代表してご挨拶します」

「お会いできて光栄だ。私は惑星第二の故郷グ=ラス・イュラグ執政官、ド=アテと申します。

千年の昔、樹海の惑星グ=ラスよりこの星系に移り住んだ種族の末裔です」

昔風の発音でやり取りする両者。はるな、と名乗ったこのは、言葉に習熟しているように見えた。

「それで、地球人類とおっしゃいましたな。私たちの言葉に大変通じておられるようだ。それに、あちらに控えているのは私たちの同胞のように見えます」

「ええ。現在樹海の惑星グ=ラスを維持管理しているのは我々です。あなた方の同胞もまだ暮らしていますが、その数は最盛期から著しく減らしてしまいました」

「なんと。何が原因なのでしょう」

「主たる原因は超新星爆発です。あなた方もご存じでしょう。破局が襲ったのです。それでも、惑星に残った方々は卓越した努力で生き延びました。惑星に住まう全ての生命。自らも含めたすべての種の遺伝子構造から作り変えて。しかしそれは滅亡を先延ばしにするだけでした。何故ならば、作り変えられたすべての種は生殖能力を著しく減退させたからです。遺伝子改造によってあなた方の同胞は九百年を超える寿命を獲得しましたが、その数はもう、減少の方が増加を遥かに上回っているのです」

「では、あなた方は彼らを助けてくれた、と?」

「ある意味ではそうかもしれません。そうなる以前、双方にとって大変に不幸な出来事が起きましたが……

立ち話もなんです。どうぞこちらへ」

はるなの案内に、ド=アテは素直に従った。

随行員たちや多様な異星人たちと共に奥へと進む。エレベーターに乗り込む。外の様子がモニターに映し出された。外周のリング部分に移動中らしい。重力区画なのだろう。

予想はあたり、ド=アテたちは巨大なチューブ状の空間へと降り立った。ここには重力がある。回転によって生じた遠心力が代わりをしているのだ。上は透明な素材で作られ、巨大な船体の様子が見て取れた。

そして内部でセットされているのは歓迎の場。床に毛織物のシートが置かれ、日傘が設置され、そして床に置かれたのは多層構造の弁当箱と小さな炉と、その上に置かれた金属製の瓶がコトコトと音を立てている。

勧められるまま、敷物の上に腰を下ろすド=アテらと随行員たち。その対面にはるなたち"地球人類"も座る。

「では、お話いたしましょう。あなた方が故郷を離れてから、一体何があったのかを」

そうして、長い昔話が始まった。


  ◇


静かだった。

はるな。こう名乗ったが語ったのはド=アテらの想像を絶する内容であった。それを簡単に受け入れることはできないほどに。

だが、一概に否定する事もまた、むずかしい。

「私は当時、作られた戦闘用の人造生命です。人間の構造を別の動物に組み込むことで作られました。人間のように考える、人間よりも強力な兵器として生まれたのです。とはいえ勘違いはしないでください。私たちはあなた方と刃を交えたいとは考えていません。超新星爆発以前に故郷を離れたあなた方にとって、これは何の関係もない話です。私たちの任務はただ、あなた方の存在を確認し、接触し、可能であれば友好的な関係を築く。これに尽きます」

「……なるほど。多くの種族がいると思っていましたが。ここにいる全部が同じ種族でしたか」

「その通りです。私たちを総称して知性強化動物。そう呼ばれています。本来の人間は―――都築くん。ちょっと来て」

呼ばれて前に出てきたのは、剥き出しの肌と頭髪を備えた平たい顔の生き物。

「彼が地球発祥人類。その一番ナチュラルな存在です」

「都築刀火です」

はるなに紹介されたこの、トツキトウカというヒトは若者なのだろう。恐らく。動きが機敏だし、肌もまだつややかに見える。

「失礼ながら。そういうことでしたら、彼はあなた方の主人なのではないですか?先ほどから見ていると、むしろ部下のようですが」

「そうですね。彼は部下です。私たちは能力と適正、経歴で人を見ます。知性強化動物と人間は平等なんですよ。今回はあなた方との接触と言う事情から、私のような経験豊富な者をトップに据えました。組織から離れた場所ではお互いに個人として尊重されます。人類はそのようなあり方を望みました」

「なるほど。合理的だ」

「ええ。合理的です。ですから信じていただきたいのです。我々があなた方に危害を加えるような非合理的な行動はしない、と。そのような事をしても、何の利益にもなりませんから」

「―――なるほど。お話は大変よくわかりました。私個人としては、あなた方を信じてもよいと考えるに足るだけのものを聞かせてもらった。ですが、私だけで全てを判断するわけには参りません。この話を持ち帰り、種族すべてで話し合わねば」

「もちろんです」

こうして、両者の同意は成った。

ド=アテはひとまず安堵。最悪の事態は恐らく、これで回避されたことだろう。得られた情報は極めて衝撃的な内容であったが、その価値は計り知れない。

茶菓子を口にする。美味い。さすが、自分たちと似た種族と言うだけのことはあった。茶を飲む。こちらもなかなかよい。緑色なのが不思議だった。どのような素材を用いているのだろう。植物性ならば、加工するとこのような色になるのかあるいは最初から緑なのか。

茶を飲み干すと、知性強化動物?のひとりがついでくれる。

最初に言葉を交わした、モンブランと言ったか。そんな名前だった記憶があった。

ふと気になって訊ねる。

「テュポン、とはなんだね」

「はい。我々の神話に登場する、神殺しの巨人を意味します」

「物騒な名前だな。だが興味深い」

「そうですね。私が作られた当時、あなた方の同胞との戦争が続いていましたから。その名残です」

「神々、か」

「はい」

ド=アテは苦笑。人類が自らに付けた学術名は「霊長類」と言うらしい。万物の霊長というわけだ。それと似たようなことを自分たちもした。一言で言い表せば「神々」となるが、自分が同じ立場ならば気恥ずかしくて名乗れたものではない。

「そういえば、ド=アテ様」

「何かね」

「あなた方は自らの種族をどう、呼称しておられるのですか」

「おお。そういえば言っていなかったな。

私たちは自らを、と呼ぶ。我々はみな、だよ」

「人類……」

ド=アテは、お代わりのお茶をもう一度飲み干した。器を置き、そしてはるなに向き直る。

「はるな理事。楽しい時間を過ごすことができた。機会があれば、次は私があなたをもてなすことにしよう」

「こちらこそ、有意義な会談でした。次にお会いできる時を楽しみに、待っています」

「うむ」

両者は別れた。

ふたつの種族は、その後も幾度もの会談を重ね、平和的な関係を構築することとなる。

こうして、神々は消え去り、人間だけが世界に残された。




―――西暦三〇五二年。第二の故郷グ=ラス・イュラグと呼ばれる惑星の傍で。神々を名乗る種族がいなくなった時代の出来事。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少年と父と———神々の樹海外伝 クファンジャル_CF @stylet_CF

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ