――空の空、空の空なり、すべては空しい。

 こちらは乾闥婆という黄金の翼を持つ半神半獣の存在が守る「香」を巡るお話しです。
 拙者、不遇な少女がなんらかの形で救われるのが好き侍……。
 三人称視点で、カメラワークもかなり切り替わるのですが、それなのに非常に読みやすかったです。
 題材的にはどうしてもぐちゃぐちゃになりがちなのですが、その手綱をしっかりと握っているのが恐ろしい。
 ――空の空、空の空なるかな、すべては空しい
 冒頭に書かれたこの言葉と、糸の震えというタイトルがじんわりと滲みてくるようなそんな作品でした。

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