正直、説教の内容は覚えていない・・・

「おい、おまえら、卑弥呼様の順位が落ちているぞ。

お前ら、すこしペースを落とせ。」


エドの方から上のセリフが流れてきた。

エドの方から本人はおそらく。

おそらく彼は卑弥呼ではなく、別の誰かに声をかけているのだろう。


卑弥呼はミュートし忘れた上記の会話を聞いて、違和感を覚えていた。


卑弥呼は、数々の不運を体験してしまったせいで。

そういった悪勘みたいなのは鋭くなってしまった。


リスナーに声をかけているのだろうか。

私が下手すぎて、リスナーと忖度しているのか。


私って、そんなに怖いのかな。

首を絞めていた時に言い返した時の

あの勇気は偽物だったの・・・


――――――――――――



「豆君、聞こえている?ミュートし忘れているけど、何かおかしなこと言っていないかな?」

少し怒りを露にした卑弥呼が言ってきている。


俺はその卑弥呼の反応で思わず固まってしまった。

あの時の殺し屋モードの卑弥呼を思い出して、胃がキリキリしている。

胃がこれ以上絡むなと訴えかけている。


「え~とですね?」

俺は終わったなと思い、かなり絶望しながら答えていた。

胃がキリキリ傷んでおり、言葉が出ない。


「豆よ。くしゃみじゃなくて、こうやってリスナーに指示出していたな。」

怒りを隠すためか。

少し苦笑いになっており、怒りが完全に隠しきれていない。

笑いながら怒る女というのは苦手だ。

恐怖しかない・・・

もう嫌だ。



コメント

:神回wwwwwwwww

:もうやめて。豆のライフはゼロよwwwwww

:今回は爆笑だわwwww

:これはひどいわwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

;修羅場過ぎるwww

:豆は、持っているなw。お前、決めるところを見事にミスるよね。

:我は血に飢えているぞ。目の前においしそうな肉があるぞ。

;これは面白いwww

:wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

;エドワードさん、すみません。うちの卑弥呼様が迷惑をかけてしまって。$1000円

:wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

:wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

:wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

:wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww



俺の配信で一番アクティブに流れており、コメント欄がwで埋め尽くされている。

コメントの大半は、卑弥呼様にシバかれることをおもしろがっていやがる。

チックショーめ。他人事だと思いやがって。

敬語が少ないため、ひみ民は、黙り込んでいるみたいだ。

どうやら、どうすればいいかが分からないのか・・・

こうなった姫を止めきれないのは、しょうがないことだろう。



「すみません。卑弥呼様は対人で負けることが苦手と聞いてですね。出来心でやってしまいました。」

俺は、卑弥呼に全力で謝った。

ここは、変に言い訳をするよりか正直に話したほうが、状況はましになると思った。

正直、胃がキリキリしてしまい、言葉が出ない。

この空気が重くて、言葉が重い。

なんだよ。このどんよりした空気は。



コメント

:修羅場過ぎるwww。

:素直に謝るしかない件ww

:これは、切り抜かれますわww

;wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

:卑弥呼様怖いよw

:卑弥呼様は握力がやばいからねw まじで気を付けてw。

;豆虐の時間だw

:豆×卑弥呼はありかw


「我は、君の優しさは分かるよ。でもさ、全力で戦っているわけじゃん。それされたら、楽しくないよね。」

卑弥呼様に優しく諭された。

卑弥呼様のこの笑顔は、マジで怖い。

諭しているのかもしれないが・・・

まじで、どういった意図で笑っているのか分からない。


コメント

:優しいほうが怖いよw

:諭されるのってメンタルに来るよな。

:卑弥呼様の、この優しさの奥に恐怖を感じるわ。

:笑って怒っている卑弥呼様は怖いわ

:今の卑弥呼様が一番怖い。



「こんなクソみたいな忖度なんて許さねえからな!!!!!!!!」

卑弥呼様に怒鳴られ、頭の中が真っ白になった。


どんよりした空気は、卑弥呼の罵声により

まるで、爆弾がおとされたような衝撃が走った。

その爆風が俺の胃を傷つけていく。


キリキリキリキリキリキリキリキリ・・・・・・・・・




「我、大声出したらすっきりしたわ~。あと、明日事務所来るよね?また、アリス談議したいな。我はこれで失礼するよ。」

すっきりしたためか、卑弥呼は少しにこやかになっている。


明日、事務所で首絞められて、また生死をさまようのか。

まじで胃がキリキリし始めた。

アリスたん談議は俺たち2人だけの脅しの隠語であり、死のメッセージだ。


コメント

:これ以上は、配信では、載せられませんw。

:これは、豆は死ぬぞww

;アリス談議(意味深w)

:明日が怖くて、寝れない豆。

:これは、豆は死ぬぞww


翌日、事務所に行って、待ち構えていた卑弥呼様に引きずり込まれた。

例の闇の住人が好みそうなあの場所で、2時間首を絞められながら、説教を受けていた。

クトゥルフ神話も、恐怖体験の記憶が消えることが当たり前だ。

SAN値ロールを振ったことは覚えているが・・・


正直、説教の内容は覚えていない・・・

覚えていない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

男性を嫌っている暴力系先輩VTuberに忖度しまくったら、愛おしい存在にさせられそうで怖いです。 最近、無能ナナに、ハマっているもそ @moso25252525

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ