運命の鎖に繋がれて

作者 梦幻

80

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★★★ Excellent!!!

強い思想性というよりも、強い提起性という感じのする作品だった。そして面白い。

本作を読んで私は、死とは何か、生とは何かということ、そしてなぜ我々は「生きている」と思い込めるのか、という問いが浮かび上がった。

この提起、特に後者の提起がとても興味深い。生や死について思索するのはありふれたことだと思うが、その思索の前提にある、「なぜ生きていると思い込めるんだろう」と考えることは少ないのではないか。

そして、アプローチとして本作が取り上げているのは「時間」と「他者」だろう。これはある種王道な二つの要素かもしれないが、それもまた良い。

特に前者。生きているから時間を観測できる、感覚できると思い込みがちかもしれないが、では時間がなかったらどうだろう。生の実感があるから時間を知覚できるのか、それとも時間があるから生の実感を得るのか。これは深掘りするのに良いテーマなのかもしれない。

近代以降、あらゆる価値観が相対化し、その一方で生の価値の絶対化がされたと言われているが、それを疑う第一歩としても本作は面白いと思う。

また、このように述べると、どちらかと言えば思考実験の類として本作を読んでしまいそうだが、小説としても出来が良いと思う。

というのも、字数を出来る限りスマートにし、簡潔にされてはいるが、その分一文一文が洗練されており、ストーリーとしても感性に響くものがある。

何度か読んで考えを深めたい一作。

★★★ Excellent!!!

死ぬことは【無】になること。

では、未だに感情が残るシロは?

【生】という夢から覚め、
けれど【死】という救いも与えられない。

唯一救いなのは、シロはクロを
そしてきっと、クロはシロを
【忘れない】でいること。

互いの心に【存在している】ことが、
きっとお互いにとっての最大の救い。


そんな事を思いました。

★★★ Excellent!!!

この人達は何で、この世界は何か……?そういった点を読者に提示してから、惹きつけるテクニックがある小説だと思います!
台詞は読みやすく!しかし、世界観は詩的だったのが好みでした。

これから読む人は、この小説は何を描いているのか……?という視点を大事にして読むと、結末にある透明感をより満足出来ると思います!

★★★ Excellent!!!

死ぬってなんだろう、というのは、誰もが一度は抱く疑問。

私はこの作品を拝読して「命」をそこに見ました。

社会哲学者であり著述家であるエリック・ホッファーは、
「死の持つ恐怖はただ一つ。それは明日がないということである」と遺しました。

死後の世界には明日は存在しない。
どんなに嫌いな人間が居たとしても、死んでしまっては、自分たちに明日は来ないのである。どんなに愛していても、どんなに憎んでいても「ボクたちの明日」は相手がいなければ存在し得ない。

例えそれが神だろうと人間だろうと、大切な相手がいるということに感謝しよう、と、そう思えたのです。

★★ Very Good!!

時間の流れない風景が自分の目の前に広がっていくような、読み始めてすぐにこの世界観に引き込まれていました。

命の相対性を提起した物語との事。

短編なのに、とても重いテーマを扱っていて、哲学的な問いかけをされているかのようでした。

いい意味で、とても怖い。

また読み返して、考えてしまうかもしれないです。

素敵な作品をありがとうございます。