第2話 あるべき自分

今日も修行を終え、家へと帰り炊事と風呂の用意

俺は1人で暮らしている、1人で暮らしているが一軒家を持っている。

この家はこの国の政府が俺へ与えてくれた家だ

この家に住む前、俺はこの国のほぼ反対の遠い地域で生活をしていた、だが、今はこの土地へ移住したんだ。

その理由はまだ。語る必要はないだろう。


「今日の飯も不味いな」


風呂に入っても、飯を食べても、疲れが取れてる気もしない、美味しく感じない。

あの日から俺自信は、何も感じなくなった。


床につこうとした時、したくもないのに

昔のこととか思い出す。

みんなも思い出すことがあるだろう、

その日の失敗や、嫌な思い。あるいは明日の楽しみの想像で眠れなくなることが

俺はいつも、「それ」でろくに眠れない。


……


「父さん」

「んー?」

夢をみてるのだろう、もう10年は昔の夢…

「父さんは魔剣士で怖くないの…?俺は怖いよ魔物って凄く危険だし、死ぬかもしれないんでしょ…?嫌にならないの…?」

「はっはっは!そりゃ怖いぞ!死ぬとか嫌だし怪我も正直嫌なくらいだ、だけどな、それでもやろうと思えることもあるんだよ。」


父はそうやって俺に教えてくれたことがあった

ずっっっと覚えてる、俺の中の大切なこと。


「人を守ることが好きでただ、続けられるような仕事ではない、だけどその人を守った人たちの笑顔見た時、平和に過ごしてる人を見たら

自然と続けちまうんだよな!」


笑顔で楽しげに語ってくれる父は俺の誇りだった。


俺は昔から優しかったとは思う。

人の役に立ちたいと思って生きてきたし

毎日俺に出来ることを探している


だけど俺には父とは違い才能がなかった


「ノックス、お前は周りより劣っている、弱いと思ってるかもしれない。俺よりも身体も弱い

かもしれない」


そうだ、俺は周りよりも体も心も弱い…


「だけど忘れるな、お前は、おまえは誰よりも

優しく守ることが出来る人間だ。

それがあれば万々歳だ、ノックス誰よりも強いひとになれるさ」


挫けるわけにはいかない、どれだけ自分が不甲斐ないと、自分の弱さに打ちひしがれても

俺は誰かを守り、幸せにする


だけどあるべき自分のことを考えると、

弱い自分のことを意識してしまい

辛く、虚しくなってしまう





ん…あぁ…また変な寝付き方をしたな、頭が痛く気分が悪い…



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「才能」そんなものはいらない @arumuad8787

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