彼女のせいで人類は滅びる[1100字完結]

良月一成

第1話

「彼女のせいで人類は滅びる」

 絶対に当たる占い師がそう言ったらしく、俺は政府の命令を受け彼女を殺す事になった。

 だが彼女は強すぎて俺は敗北した。人類を滅ぼせるというのも納得だ。

「ははは、いつでも殺しにこい」

 そう言われ、俺はその日から修行と彼女との闘いの日々を送る事になった。


一年後。

俺はついに彼女と同程度の力を手に入れていた。

「やはり私が見込んだだけの事はあるな! 今の強さなら、お前が望めば世界を滅す事だって出来よう」

「馬鹿な事を。だがこれで準備は出来たな。明日だ。明日、お前と最後の決闘を行う」

「そうだな。……だがその前に」


 俺は彼女に連れられて、イルミネーションの輝く街並みを二人で歩く事になった。

「なんでこんな……」

「はは、今日はクリスマスイブだぞ。イブはデートをするものだろう」

「明日殺し合う俺たちがデートとは、中々面白い冗談だ」

 そのあと、偶然強盗に出くわし、二人で捕らえることになったりと、ハプニングもあったが、何気に俺はクリスマスイブを楽しんでしまったのか知れなかった。


 その日の夜、俺は明日の戦いで、俺の防具が簡単に壊れてしまう準備をしていた。

 正直、彼女が人類を滅すなんてこと、今の俺には想像が出来なかった。

 彼女はただ、力を持ちすぎてしまっただけだ。

 だから明日の戦いは俺の負けでいい。

 そしてそれでも俺を殺さないところを世界に中継させる。

 それで全てがうまくいくはずだ。


 その日の夜中、窓の外が輝いた。そしてとんでもない音と衝撃派が遅れて俺の家まで届く。

 窓の外を見て俺は気づく。あれは彼女の住む島ではないか。

 俺は考えるより先にその島へと向かった。

 するとそこには島は存在していなかった。巨大なクレーターに海水が流れ込んでいっている。

「どういうことだ!」

 俺は政府関係者に電話した。

『ハハハ! 実は新型の爆弾を開発していてね。彼女を殺せるという判断がなされ使用されたのだ。そして予想通りうまくいったようだ』

「どうして……教えてくれなかった」

『みんな知っていたさ。一般人に被害が出ないように。だが君の持つ端末には細工をさせてもらったよ。君に不自然な行動をとってもらわないように』

「なん……だと」

 俺はそこで絶望した。

「みんな……人類みんな知っていたのに、誰も俺たちにそれを教えてくれなかったっていうのか!!」

『な、何をそんなに怒っているのかね。君も、人類を滅ぼしかねない女などと戦わずに済んで良かったではないか』

「……確か、占い師は彼女のせいで人類は滅びる。そう言ったんだよな」

『あぁ、だがその占いも初めて外れてしまったようだな』

「いや……」

 俺はそこで携帯電話をバキョリと握り潰した。

「その占いは正しいよ」

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