ポポリス

@samorin218

第1話 ポポリス

 ポポリスの髪の毛はオレンジ色である。燃えるようなオレンジ色である。南国の太陽の光をたくさん吸収し、すくすくと健康に育った果物のようなオレンジ色である。

 ポポリスの瞳は青色である。冬の透き通った青空のような突き抜けるような青色である。泉の水が凍りつくような寒い朝の空気のような青色である。たるぼぼの森の南にある草原に咲く矢車菊の花のように知的な青色である。

 ポポリスの頬は赤みを帯びている。活発な少女らしいふっくらとした頬はいつも幸せそうな色合いである。

 オレンジとピンクの中間のような色の唇。その上には可愛らしい丸い鼻。鼻先は頬と同じようにいつも健康的な赤みを帯びている。

 ポポリスは「たるぼぼの森」に住んでいる。たるぼぼの森は帝国の東の端にある。帝国は聖母さまのご加護の下にある。

 ポポリスの住む家は木でできている。そこには彼女の母親と父親が一緒に住んでいる。小さな家には皆でごはんを食べる居間と、色とりどりの瓶やら、様々な形の調理器具やらで賑やかに飾られたキッチンと、家族全員の寝室がある。家の前には小さな庭があり、そこには赤いトマトや緑のキュウリが育っている。

 ポポリスの父親は物書きである。子供向けのお話を毎日せっせと書いている。ポポリスはそんな父親が書いたお話を母親に読んでもらうのが好きである。

 ポポリスの母親は料理が上手である。特に彼女の作るミートパイは絶品である。ポポリスとその父親はそんな母が大好きである。

 ポポリスの12回目の誕生日がやってくる数日前。このお話はそこから始まる。

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