たけ・こぷたー(前編)


「助手君、空を飛んでみたくはないかい?」

「いいえ。まーーーーったく、そんなことは、思いません!」

「今日は随分と否定的だな。悲しいぞ」


 今日こそは定時帰宅させてもらいますよ、ライデン教授。


 19時から合コンが待っているのだ。助手としてライデン教授の元で働き、そろそろ20代も終わるころ。その間に色恋沙汰など久しくしていなかった。


 そんな中、先日旧友にお呼ばれした合コンの席に現れたイケメン外資系ベンチャー企業CEO。文字にしただけでもその破壊力さながら、滲み出る圧倒的包容力と爽やかな性格。


 こりゃあ、アラサー突入前にゲッツするしかない。


「そんなわけで、本日は定時に上がらせてもらいます」

「は?どんなわけだ?」

「私はアラサーになりたくないんです」

「なんだそんなことか。結婚なんていつでもできるだろ。男の方からハエみたいに寄って来る。安心しろ」

「あなたには私みたいな女の気持ちなんて分からないでしょうね!」

「まったく……。このまえの休日に開かれた合コンで気に入った男でもいたんだな。それで、今日は同じメンツでの第二回開催ってトコだろ」


 ライデン教授は椅子をくるくると回転させて天井をぼーっと眺めている。


「……相変わらずの推察力ですね。その通りですよ!」

「それなら今日は私の手伝いをしろ」

「それならってどういうことですか!?」

「その男よりもイイ男を紹介してやるよ」

「イケメン外資系ベンチャー企業CEOよりもイイ男がこの世にいるわけないじゃないですか!」

「世界的超大手外資系電子機器メーカーCEOのイケメン御曹司」

「なんですかそのパワーワードを詰め込んだみたいな男」


 イケメン外資系ベンチャー企業CEOでもすでに詰め込んでいるのに、それ以上の逸材じゃないか。


「来週の土曜日でいいな」

「勝手に予定を組まないでくださいよ」

「安心しろ。顔写真送ったら好みだって言ってるぞ」

「どうして人の顔を勝手に送るんですか!私のプライバシーを尊重してください!」

「さて、そういうわけだ。今日は残ってくれるよな?」

「ぜーーーったいに残りません!」

「――ちょいちょい」

「なんですか」


 ライデン教授の手招きに彼女の傍にやってくる。


「ほれ」


 見せられたのはスマホの画面だった。そこに映るのは甘いマスクで有名な映画俳優激似のイケメンだった。


「私がさっき言った男だ」

「残業します」

「よろしい」


 ライデン教授はシタリ顔をして机の引き出しから竹とんぼを取り出した。

 

「珍しいモノ持ってますね」

「今日の研究はこれだ」


 竹とんぼを両手で挟み、前後同時で逆に擦る。すると、竹とんぼは手元を離れて飛び上がった。天井に激突するギリギリまで上昇したが、その前に飛行能力が失われて地面に落下した。


「タケコプターを作るぞ」

「青い猫型ロボットが持ってるアレですか?」

「そうだ。アレを実際に作ったから、その実験だ」

「今回ばかりは無茶な実験なのが目に見えてますよね?」

「何を言っている。何が起きるかやってみるまで分からないのが実験じゃないか」

「暴論!」

「さ、カメラを準備してくれ」

「わかりましたよ」


 いつものように棚からカメラを取り出す。三脚をセットし、カメラの電源をオン。


「もう録画しちゃいますよー」

「はやい!」

「こんな準備も慣れたものですよ」

「こっちが終わってないんだ!」

 

 でしょうね。


「はいはい、待ってますよ」

「おまえも手伝え。そんなんじゃ続きが書かれないし、更新が止まるぞ。今回の話は前編とかほざいてるしな」

「はい?」


 ライデン教授が何を言っているのか意味不明だったが、手伝うことにした。





(後編へ続く?)








追記:打ち切り



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ライデン教授、仕事が終わったので帰らせてください 四志・零御・フォーファウンド @lalvandad123

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