■ 今日（きょう）の伏字（ふせじ）漢字（かんじ）（❶（いち）～（から）❻（ろく）は（わ）小１（しょういち）～（から）小６（しょうろく）、❼（なな）は（わ）中学（ちゅうがく）で覚（おぼ）える常用（じょうよう）漢字（かんじ）です）

　※ 日本（にほん）で暮（く）らす全（すべ）ての人（ひと）は、すべからくこれらの常用（じょうよう）漢字（かんじ）を知（し）っておくべきとされています。

小１,❶：二,字

小２,❷：教,知,親,角

小３,❸：他,真

小４,❹：徳

小６,❻：宗

■ 学習（がくしゅう）コンテンツ

　※ 読（よ）み仮名（がな）で漢字（『かんじ』）（『かんじ』）の様（よう）に括弧（かっこ）の付（つ）いた漢字（かんじ）は原書（げんしょ）で読（よ）み仮名（がな）が付（つ）いている漢字（かんじ）です。これらは伏字（ふせじ）から除外（じょがい）します。

作品（さくひん）名（めい）：愚禿（ぐとく）❷鸞（しんらん）

著者（ちょしゃ）名（めい）：西田（にしだ）幾多郎（きたろう）

　余（よ）は（わ）❸❻（しんしゅう）の家（いえ）に生（うま）れ、余（よ）の母（はは）は（わ）❸❻（しんしゅう）の信者（しんじゃ）であるに拘（『かかわ』）らず、余（よ）自身（じしん）は（わ）❸❻（しんしゅう）の信者（しんじゃ）でもなければ、また❸❻（しんしゅう）について多（おお）く❷（し）るものでもない。ただ上人（『しょうにん』）が在世（ざいせい）の時（とき）自（みずか）ら愚禿（『ぐとく』）と称（しょう）しこの❶❶（にじ）に重（おも）きを置（お）かれたとい（ゆ）う話（はなし）から、余（よ）の❷（し）る所（ところ）を以（もっ）て推（お）すと、愚禿（ぐとく）の❶❶（にじ）は（わ）能（『よ』）く上人（しょうにん）の為人（『ひととなり』）を表（あらわ）すと共（とも）に、❸❻（しんしゅう）の❷義（きょうぎ）を標榜（ひょうぼう）し、兼（かね）て❻❷（しゅうきょう）その者（もの）の本質（ほんしつ）を示（しめ）すものでは（わ）なかろうか。人間（にんげん）には（わ）智者（ちしゃ）もあり、愚者（ぐしゃ）もあり、❹（とく）者（しゃ）もあり、不❹（ふとく）者（しゃ）もある。しかしいかに大（だい）なるとも人間（にんげん）の智（ち）は（わ）人間（にんげん）の智（ち）であり、人間（にんげん）の❹（とく）は（わ）人間（にんげん）の❹（とく）である。三❷形（さんかっけい）の辺（へん）は（わ）いかに長（なが）くとも総（す）べての❷（かく）の和（わ）が❶（に）直❷（ちょっかく）に等（ひと）しというには（わ）何（なん）の変（かわ）りもなかろう。ただ翻身（『ほんしん』）一回（いちかい）、此（『この』）智（ち）、此（『この』）❹（とく）を捨（す）てた所（ところ）に、新（あらた）な智（ち）を得（え）、新（あらた）な❹（とく）を具（『そな』）え、新（あらた）な生命（いのち）に入（はい）ることができるのである。これが❻❷（しゅうきょう）の❸髄（しんずい）である。❻❷（しゅうきょう）の事（こと）は（わ）世（よ）のいわゆる学問（がくもん）❷識（ちしき）と何（なん）ら交渉（こうしょう）もない。コペルニカスの地動（ちどう）説（せつ）が❸理（しんり）であろうが、トレミーの天動説（てんどうせつ）が❸理（しんり）であろうが、そういうことは（わ）何方（『どちら』）でもよい。❹行（とっこう）の点（てん）から見（み）ても、❻❷（しゅうきょう）は（わ）自（みずか）ら❹行（とっこう）を伴（ともな）い来（く）るものであろうが、また必（かなら）ずしもこの両者（りょうしゃ）を同一視（どういつし）することは（わ）できぬ。昔（むかし）、融禅師（『ゆうぜんじ』）がまだ牛頭山（『ごずさん』）の北（きた）巌（いわお）に棲（『す』）んでいた時（とき）には（わ）、色々（いろいろ）の鳥（とり）が花（はな）を啣（『ふく』）んで供養（『くよう』）したが、四祖大師（『しそだいし』）に参（さん）じてから鳥（とり）が花（はな）を啣（ふく）んで来（こ）なくなったとい（ゆ）う話（はなし）を聞（き）いたことがある。❻❷（しゅうきょう）の智（ち）は（わ）智（ち）その者（もの）を❷（し）り、❻❷（しゅうきょう）の❹（とく）は（わ）❹（とく）その者（もの）を用（もち）いるのである。三❷形（さんかくけい）の幾何学的（きかがくてき）性質（せいしつ）を究（きわ）めるには（わ）紙上（しじょう）の一（いち）小（しょう）三❷形（さんかくけい）で沢山（たくさん）であるように、心霊（しんれい）上（じょう）の事実（じじつ）に対（たい）しては（わ）英雄（えいゆう）豪傑（ごうけつ）も匹夫匹婦（『ひっぷひっぷ』）と同一（どういつ）である。ただ眼（め）は（わ）眼（め）を見（み）ることは（わ）できず、山（やま）にある者（もの）は（わ）山（やま）の全体（ぜんたい）を❷（し）ることは（わ）できぬ。此（『この』）智（ち）此（『この』）❹（とく）の間（あいだ）に頭（あたま）出頭（しゅっとう）没（ぼっ）する者（もの）は（わ）此（『この』）智（ち）此（『この』）❹（とく）を❷（し）ることは（わ）できぬ。何人（なんびと）であっても赤裸々（せきらら）たる自己（じこ）の本体（ほんたい）に立（た）ち返（かえ）り、一（ひと）たび懸崖（『けんがい』）に手（て）を撒（『さっ』）して絶後（ぜつご）に蘇（よみがえ）った者（もの）でなければこれを❷（し）ることは（わ）できぬ、即（すなわ）ち深（ふか）く愚禿（ぐとく）の愚禿（ぐとく）たる所以（『ゆえん』）を味（あじわ）い得（え）たもののみこれを❷（し）ることができるのである。上人（しょうにん）の愚禿（ぐとく）は（わ）かくの如（ごと）き意味（いみ）の愚禿（ぐとく）では（わ）なかろうか。❸力（たりき）といわず、自力（じりき）といわず、一切（いっさい）の❻❷（しゅうきょう）は（わ）この愚禿（ぐとく）の❶❶（にじ）を味（あじわ）うに外（ほか）ならぬのである。

　しかし右（みぎ）のようにいえば、愚禿（ぐとく）の❶❶（にじ）は（わ）独（ひと）り❸❻（しんしゅう）に限（かぎ）った訳（わけ）でもないようであるが、❸❻（しんしゅう）は（わ）特（とく）にこの方面（ほうめん）に着目（ちゃくもく）した❻❷（しゅうきょう）である、愚人（ぐじん）、悪人（あくにん）を正因（『しょういん』）とした❻❷（しゅうきょう）である。同（おな）じく愛（あい）を主（しゅ）とした❸力（たりき）❻（しゅう）であっても、猶太（『ユダヤ』）❷（きょう）から出（で）た基督（『キリスト』）❷（きょう）は（わ）なお、正義（せいぎ）の観念（かんねん）が強（つよ）く、いくらか罪（つみ）を責（せ）むるとい（ゆ）う趣（おもむき）があるが、❸❻（しんしゅう）は（わ）これと違（ちが）い絶対的（ぜったいてき）愛（あい）、絶対的（ぜったいてき）❸力（たりき）の❻❷（しゅうきょう）である。例（れい）の放蕩（ほうとう）息子（むすこ）を迎（むか）えた父（ちち）のように、いかなる愚人（ぐじん）、いかなる罪人（ざいにん）に対（たい）しても弥陀（『みだ』）は（わ）ただ汝（なんじ）のために我（われ）は（わ）粉骨砕身（ふんこつさいしん）せりといって、これを迎（むか）えられるのが❸❻（しんしゅう）の本旨（ほんし）である。『歎異抄（たんにしょう）』の中（なか）に上人（しょうにん）が「弥陀（みだ）の五劫思惟（『ごこうしゆい』）の願（ねがい）をよくよく案（あん）ずればひとへ（え）に❷鸞（しんらん）一人（ひとり）がためなりけり」といわれたのがその極意（ごくい）を示（しめ）したものであろう。終（おわ）りに❻祖（しゅうそ）その人（ひと）の人格（じんかく）について見（み）ても、かの日蓮（にちれん）上人（しょうにん）が意気（いき）冲天（『ちゅうてん』）、❸❻（たしゅう）を罵倒（ばとう）し、北条（ほうじょう）氏（し）を目（もく）して、小島（こじま）の主（あるじ）らが云々（うんぬん）と壮語（そうご）せしに比（くら）べて、吉水（よしみず）一門（いちもん）の奇禍（きか）に連（『つらな』）り北国（きたぐに）の隅（すみ）に流（なが）されながら、もし我（『われ』）配所（はいしょ）に赴（おもむ）かずんば何（なに）によりてか辺鄙（へんぴ）の群（ぐん）類（るい）を化（ばか）せんといって、法（ほう）を見（み）て人（ひと）を見（み）なかった❷鸞（しんらん）上人（しょうにん）の人格（じんかく）は（わ）頗（すこぶ）る趣（おもむき）を異（い）にしたものといわねばならぬ。風（かぜ）号（『さけ』）び雲（くも）走（はし）り、怒濤澎湃（『どとうほうはい』）の間（あいだ）に立（た）ちて、動（うご）かざること巌（『いわお』）の如（ごと）き日蓮（にちれん）上人（しょうにん）の意気（いき）は（わ）、壮（そう）なることは（わ）壮（そう）であるが、煙波（えんぱ）渺茫（『びょうぼう』）、風（かぜ）静（『しずか』）に波（なみ）動（うご）かざる❷鸞（しんらん）上人（しょうにん）の胸懐（きょうかい）は（わ）また何（なん）となく奥床（『おくゆか』）しいでは（わ）ないか。

　（『❻祖（しゅうそ）観（かん）』大谷（おおや）学士（がくし）会（かい）発行（はっこう）、明治（めいじ）四十四（よんじゅうよ）年（ねん）四月（しがつ）、第（だい）一巻（いっかん））

■ コンテンツ（こんてんつ）

作品（さくひん）名（めい）：愚禿（ぐとく）親鸞（しんらん）

著者（ちょしゃ）名（めい）：西田（にしだ）幾多郎（きたろう）

　余（よ）は（わ）真宗（しんしゅう）の家（いえ）に生（うま）れ、余（よ）の母（はは）は（わ）真宗（しんしゅう）の信者（しんじゃ）であるに拘（かかわ）らず、余（よ）自身（じしん）は（わ）真宗（しんしゅう）の信者（しんじゃ）でもなければ、また真宗（しんしゅう）について多（おお）く知（し）るものでもない。ただ上人（しょうにん）が在世（ざいせい）の時（とき）自（みずか）ら愚禿（ぐとく）と称（しょう）しこの二字（にじ）に重（おも）きを置（お）かれたとい（ゆ）う話（はなし）から、余（よ）の知（し）る所（ところ）を以（もっ）て推（お）すと、愚禿（ぐとく）の二字（にじ）は（わ）能（よ）く上人（しょうにん）の為人（ひととなり）を表（あらわ）すと共（とも）に、真宗（しんしゅう）の教義（きょうぎ）を標榜（ひょうぼう）し、兼（かね）て宗教（しゅうきょう）その者（もの）の本質（ほんしつ）を示（しめ）すものでは（わ）なかろうか。人間（にんげん）には（わ）智者（ちしゃ）もあり、愚者（ぐしゃ）もあり、徳（とく）者（しゃ）もあり、不徳（ふとく）者（しゃ）もある。しかしいかに大（だい）なるとも人間（にんげん）の智（ち）は（わ）人間（にんげん）の智（ち）であり、人間（にんげん）の徳（とく）は（わ）人間（にんげん）の徳（とく）である。三角形（さんかっけい）の辺（へん）は（わ）いかに長（なが）くとも総（す）べての角（かく）の和（わ）が二（に）直角（ちょっかく）に等（ひと）しというには（わ）何（なん）の変（かわ）りもなかろう。ただ翻身（ほんしん）一回（いちかい）、此（この）智（ち）、此（この）徳（とく）を捨（す）てた所（ところ）に、新（あらた）な智（ち）を得（え）、新（あらた）な徳（とく）を具（そな）え、新（あらた）な生命（いのち）に入（はい）ることができるのである。これが宗教（しゅうきょう）の真髄（しんずい）である。宗教（しゅうきょう）の事（こと）は（わ）世（よ）のいわゆる学問（がくもん）知識（ちしき）と何（なん）ら交渉（こうしょう）もない。コペルニカス（こぺるにかす）の地動（ちどう）説（せつ）が真理（しんり）であろうが、トレミー（とれみー）の天動説（てんどうせつ）が真理（しんり）であろうが、そういうことは（わ）何方（どちら）でもよい。徳行（とっこう）の点（てん）から見（み）ても、宗教（しゅうきょう）は（わ）自（みずか）ら徳行（とっこう）を伴（ともな）い来（く）るものであろうが、また必（かなら）ずしもこの両者（りょうしゃ）を同一視（どういつし）することは（わ）できぬ。昔（むかし）、融禅師（ゆうぜんじ）がまだ牛頭山（ごずさん）の北（きた）巌（いわお）に棲（す）んでいた時（とき）には（わ）、色々（いろいろ）の鳥（とり）が花（はな）を啣（ふく）んで供養（くよう）したが、四祖大師（しそだいし）に参（さん）じてから鳥（とり）が花（はな）を啣（ふく）んで来（こ）なくなったとい（ゆ）う話（はなし）を聞（き）いたことがある。宗教（しゅうきょう）の智（ち）は（わ）智（ち）その者（もの）を知（し）り、宗教（しゅうきょう）の徳（とく）は（わ）徳（とく）その者（もの）を用（もち）いるのである。三角形（さんかくけい）の幾何学的（きかがくてき）性質（せいしつ）を究（きわ）めるには（わ）紙上（しじょう）の一（いち）小（しょう）三角形（さんかくけい）で沢山（たくさん）であるように、心霊（しんれい）上（じょう）の事実（じじつ）に対（たい）しては（わ）英雄（えいゆう）豪傑（ごうけつ）も匹夫匹婦（ひっぷひっぷ）と同一（どういつ）である。ただ眼（め）は（わ）眼（め）を見（み）ることは（わ）できず、山（やま）にある者（もの）は（わ）山（やま）の全体（ぜんたい）を知（し）ることは（わ）できぬ。此（この）智（ち）此（この）徳（とく）の間（あいだ）に頭（あたま）出頭（しゅっとう）没（ぼっ）する者（もの）は（わ）此（この）智（ち）此（この）徳（とく）を知（し）ることは（わ）できぬ。何人（なんびと）であっても赤裸々（せきらら）たる自己（じこ）の本体（ほんたい）に立（た）ち返（かえ）り、一（ひと）たび懸崖（けんがい）に手（て）を撒（さっ）して絶後（ぜつご）に蘇（よみがえ）った者（もの）でなければこれを知（し）ることは（わ）できぬ、即（すなわ）ち深（ふか）く愚禿（ぐとく）の愚禿（ぐとく）たる所以（ゆえん）を味（あじわ）い得（え）たもののみこれを知（し）ることができるのである。上人（しょうにん）の愚禿（ぐとく）は（わ）かくの如（ごと）き意味（いみ）の愚禿（ぐとく）では（わ）なかろうか。他力（たりき）といわず、自力（じりき）といわず、一切（いっさい）の宗教（しゅうきょう）は（わ）この愚禿（ぐとく）の二字（にじ）を味（あじわ）うに外（ほか）ならぬのである。

　しかし右（みぎ）のようにいえば、愚禿（ぐとく）の二字（にじ）は（わ）独（ひと）り真宗（しんしゅう）に限（かぎ）った訳（わけ）でもないようであるが、真宗（しんしゅう）は（わ）特（とく）にこの方面（ほうめん）に着目（ちゃくもく）した宗教（しゅうきょう）である、愚人（ぐじん）、悪人（あくにん）を正因（しょういん）とした宗教（しゅうきょう）である。同（おな）じく愛（あい）を主（しゅ）とした他力（たりき）宗（しゅう）であっても、猶太（ユダヤ）教（きょう）から出（で）た基督（キリスト）教（きょう）は（わ）なお、正義（せいぎ）の観念（かんねん）が強（つよ）く、いくらか罪（つみ）を責（せ）むるとい（ゆ）う趣（おもむき）があるが、真宗（しんしゅう）は（わ）これと違（ちが）い絶対的（ぜったいてき）愛（あい）、絶対的（ぜったいてき）他力（たりき）の宗教（しゅうきょう）である。例（れい）の放蕩（ほうとう）息子（むすこ）を迎（むか）えた父（ちち）のように、いかなる愚人（ぐじん）、いかなる罪人（ざいにん）に対（たい）しても弥陀（みだ）は（わ）ただ汝（なんじ）のために我（われ）は（わ）粉骨砕身（ふんこつさいしん）せりといって、これを迎（むか）えられるのが真宗（しんしゅう）の本旨（ほんし）である。『歎異抄（たんにしょう）』の中（なか）に上人（しょうにん）が「弥陀（みだ）の五劫思惟（ごこうしゆい）の願（ねがい）をよくよく案（あん）ずればひとへ（え）に親鸞（しんらん）一人（ひとり）がためなりけり」といわれたのがその極意（ごくい）を示（しめ）したものであろう。終（おわ）りに宗祖（しゅうそ）その人（ひと）の人格（じんかく）について見（み）ても、かの日蓮（にちれん）上人（しょうにん）が意気（いき）冲天（ちゅうてん）、他宗（たしゅう）を罵倒（ばとう）し、北条（ほうじょう）氏（し）を目（もく）して、小島（こじま）の主（あるじ）らが云々（うんぬん）と壮語（そうご）せしに比（くら）べて、吉水（よしみず）一門（いちもん）の奇禍（きか）に連（つらな）り北国（きたぐに）の隅（すみ）に流（なが）されながら、もし我（われ）配所（はいしょ）に赴（おもむ）かずんば何（なに）によりてか辺鄙（へんぴ）の群（ぐん）類（るい）を化（ばか）せんといって、法（ほう）を見（み）て人（ひと）を見（み）なかった親鸞（しんらん）上人（しょうにん）の人格（じんかく）は（わ）頗（すこぶ）る趣（おもむき）を異（い）にしたものといわねばならぬ。風（かぜ）号（さけ）び雲（くも）走（はし）り、怒濤澎湃（どとうほうはい）の間（あいだ）に立（た）ちて、動（うご）かざること巌（いわお）の如（ごと）き日蓮（にちれん）上人（しょうにん）の意気（いき）は（わ）、壮（そう）なることは（わ）壮（そう）であるが、煙波（えんぱ）渺茫（びょうぼう）、風（かぜ）静（しずか）に波（なみ）動（うご）かざる親鸞（しんらん）上人（しょうにん）の胸懐（きょうかい）は（わ）また何（なん）となく奥床（おくゆか）しいでは（わ）ないか。

　（『宗祖（しゅうそ）観（かん）』大谷（おおや）学士（がくし）会（かい）発行（はっこう）、明治（めいじ）四十四（よんじゅうよ）年（ねん）四月（しがつ）、第（だい）一巻（いっかん））

■ 原書情報（青空文庫）

図書カード：No.3503（新字新仮名）

https://www.aozora.gr.jp/cards/000182/card3503.html

https://www.aozora.gr.jp/cards/000182/files/3503_13512.html

底本：「西田幾多郎随筆集」岩波文庫、岩波書店

　　　1996（平成8）年10月16日第1刷発行

　　　1998（平成10）年9月16日第3刷発行

底本の親本：「西田幾多郎全集　第一巻」岩波書店

　　　1987（昭和62）年11月

初出：「宗祖観」大谷学士会

　　　1911（明治44）年4月

入力：アキトチ

校正：鈴木厚司

■ 今日（きょう）の漢字（かんじ）の説明（せつめい）（カタカナは（わ）音（おん）読（よ）み、平仮名（ひらがな）は（わ）訓（くん）読（よ）みです）

❶：二：ニ・▲ジ・二（ふた）・二（ふた）つ【一（いち）の次（つぎ）の数（かず）・値（あたい）・順位（じゅんい）／三（さん）の前（まえ）】

❶：字：ジ・㊥字（あざ）・▲字（あざな）【文字（もじ）／言葉（ことば）を書（か）き表（あらわ）す記号（きごう）】

❷：教：キョウ・教（おし）える・教（おそ）わる【習（なら）わせて導（みちび）く,神（かみ）や仏（ほとけ）の教（おし）え】

❷：知：チ・知（し）る・▲知（し）らせる【知恵（ちえ）／物事（ものごと）の道理（どうり）が判（わか）る／知（し）り合（あ）い／司（つかさど）る】

❷：親：シン・親（おや）・親（した）しい・親（した）しむ・▲親（みずか）ら【それを生（う）んだもの／それを子（こ）として養（やしな）うもの／父（ちち）と母（はは）との総称（そうしょう）】

❷：角：カク・角（かど）・角（つの）・▲角（すみ）・▲角（くら）べる【物（もの）の尖（とが）って突（つ）き出（だ）した部分（ぶぶん）／場所（ばしょ）の中央（ちゅうおう）で無（な）い所（ところ）／隅（すみ）っこ】

❸：他：タ・他（ほか）【自分（じぶん）以外（いがい）／自分（じぶん）と相手（あいて）以外（いがい）のもの／ある特定（とくてい）の事物（じぶつ）と別（べつ）である事（こと）】

❸：真：シン・真（ま）・▲真（まこと）【本当（ほんとう）の所（ところ）／真実（しんじつ）／嘘（うそ）や偽（いつわ）りで無（な）い事（こと）】

❹：徳：トク【身（み）に付（つ）いた品性（ひんせい）／善（ぜん）や正義（せいぎ）に従（したが）う人格（じんかく）的（てき）能力（のうりょく）】

❻：宗：シュウ・㊥ソウ・▲宗（むね）【大本（おおもと）／本家（ほんけ）／家元（いえもと）／祖先（そせん）】

　※ ▲は常用（じょうよう）外（がい）の読（よ）み方（かた）です。㊥は中学（ちゅうがく）で、㋙は高校（こうこう）で習（なら）う読（よ）み方（かた）です。漢検（かんけん）・漢字（かんじ）辞典（じてん）の記載（きさい）に準拠（じゅんきょ）しています。

　※ 漢字（かんじ）説明（せつめい）はモジナビ https://mojinavi.com/ の各（かく）ページを参考（さんこう）にしています。

■ 今日（きょう）の漢字（かんじ）の書（か）き順（じゅん）や詳（くわ）しい説明（せつめい）を知（し）りたい方（かた）は此方（こちら）をどうぞ。

小１,❶：二 https://mojinavi.com/d/u4e8c

小１,❶：字 https://mojinavi.com/d/u5b57

小２,❷：教 https://mojinavi.com/d/u6559

小２,❷：知 https://mojinavi.com/d/u77e5

小２,❷：親 https://mojinavi.com/d/u89aa

小２,❷：角 https://mojinavi.com/d/u89d2

小３,❸：他 https://mojinavi.com/d/u4ed6

小３,❸：真 https://mojinavi.com/d/u771f

小４,❹：徳 https://mojinavi.com/d/u5fb3

小６,❻：宗 https://mojinavi.com/d/u5b97

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★（通常（つうじょう）版（ばん））全部（ぜんぶ）の漢字（かんじ）にルビ（るび）を振（ふ）ってみたくはありませんか？

　　https://kakuyomu.jp/works/1177354055305889978/episodes/1177354055361644961

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★（カタカナ（かたかな）版（ばん））このクラシカル（くらしかる）なエッセイ（えっせい）にフリガナ（ふりがな）を！

　　https://kakuyomu.jp/works/1177354055324161539/episodes/1177354055428506031

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★（ローマ（ろーま）字（じ）版（ばん））こんな漢字（かんじ）にローマ（ろーま）字（じ）が振（ふ）れるわけがない！？

　　https://kakuyomu.jp/works/1177354055360859507/episodes/1177354055428510981

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https://www.aozora.gr.jp/

青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）とは（わ）？

　青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）は（わ）、誰（だれ）にでもアクセス（あくせす）できる自由（じゆう）な電子（でんし）本（ほん）を、図書館（としょかん）のようにインターネット（いんたーねっと）上（じょう）に集（あつ）めようとする活動（かつどう）です。

　著作（ちょさく）権（けん）の消滅（しょうめつ）した作品（さくひん）と、「自由（じゆう）に読（よ）んでもらってかまわない」とされたものを、テキスト（てきすと）とＸ（えっくす）ＨＴＭＬ（えいちてぃえむえる）（一部（いちぶ）は（わ）ＨＴＭＬ（えいちてぃえむえる））形式（けいしき）に電子（でんし）化（か）した上（うえ）で揃（そろ）えています。

https://www.aozora.gr.jp/guide/aozora_bunko_faq.html

Ｑ（きゅー）：青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）って、何（なに）ですか？

Ａ（えー）：1997（せんきゅうひゃくきゅうじゅうなな）年（ねん）に始（はじ）まったボランティア（ぼらんてぃあ）活動（かつどう）で、誰（だれ）にでもアクセス（あくせす）できる自由（じゆう）な電子（でんし）本（ぼん）を、共有（きょうゆう）可能（かのう）なものとして図書館（としょかん）のようにインターネット（いんたーねっと）上（じょう）に集（あつ）めようとしております。現在（げんざい）は（わ）、日本（にっぽん）国内（こくない）で著作（ちょさく）権（けん）保護（ほご）期間（きかん）の満了（まんりょう）した作品（さくひん）を中心（ちゅうしん）に、ボランティア（ぼらんてぃあ）のみなさんの力（ちから）によって電子（でんし）化（か）作業（さぎょう）を進（すす）めています。青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）は（わ）そういった電子（でんし）化（か）活動（かつどう）のための、またその成果（せいか）物（ぶつ）をアーカイヴ（あーかいゔ）しておくための場（ば）でもあり、そこからコピー（こぴー）された本（ほん）の集成（しゅうせい）や活用（かつよう）事例（じれい）もまた〈青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）〉と呼（よ）ばれることがあります。詳（くわ）しくは（わ）「青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）のしくみ」（http://www.aozora.gr.jp/aozora_bunkono_shikumi.html）をご一読（いちどく）ください。