第51話「最終話」:佐藤が辰野ハウスの管理人と人生の終末期

 店の家賃が、払えなくて困っていたと告白した。だから、ここに住んで良いと言われて救われたと言った。今の家は、売れないのかと聞くと、古屋付きでは、買い手は、いないと言った。両親も亡くなり、ここには、俺の一家だけだと言った。


 広さは、どの位と聞くと土地が120坪で、古家が2軒と言った。売れたら、売りたいかと宮入が佐藤に聞くと、もちろん売りたいと答えた。それを聞いて、宮入が、何とか協力してやるよと言った。そんな話をしてると、夜遅いからと言い佐藤は、母屋に、帰った。


 その後、宮入は、1人で部屋に入り、泉堂さんと吉沢さんは、別の部屋に入って、眠りについた。翌日、重森工務店の重森社長に電話して、佐藤君の話をすると、実際見てみないとわからないが古家を壊して、更地にすれば、125坪なら、売れると思うと言った。


 いくら位と聞くと、宅地なら2千万円から2千5百万円と言ったところだろうと語った。古屋2軒を壊し整地するとしたら費用はと聞くと、木造なら3万円で請け負うと言った。翌日、佐藤君に電話し、知り合いの工務店に、一緒に行こうと喜んでくれた。


 その後、重森工務店で佐藤君と合流し、重森社長の車で佐藤君の家へ行った。すると社長が広いねと言うと120坪と聞いてますと佐藤君が言った。詳しい家の図面を見せてと言うと家の中に入った。築35年、40年と聞くと40年近いと答えた。


 離れは、50年以上と言い、見ると、一部が崩れだしていた。書類を見ても、家の図面くらいしかなかった。すると社長が2千万円なら買うというと、佐藤が、売りますと言った。ただし、古家の解体と残骸の処分料金、整地代金で300万円かかるので、正味1700万円だと言った。


 それでも結構ですと言った。それで良ければ売買契約書を作ってくるから、ハンコを押して欲しいと言われた。

家の中から佐藤君が実印を持ってきて、重森工務店の事務所に戻った。その後、売買契約書にハンコをついた。それが終わると社長が若い社員3人と佐藤家に戻り権利書などの書類を探した。


 1時間後、書類が見つかり、役所で土地の権利の移行ができ、次第、佐藤さんの口座に1700万円を振り込むと言った。どの位かかります金と佐藤君が重森社長に聞くと、1から2週間と言った。そうこう、しているうちに、

宮入が来て1週間目に、東京へ3人で帰ると言い辰野を離れた。


 その2週間後、佐藤君から実家が1700万円で売れたと喜びの電話が入った。2017年6月8日金曜日、辰野ホタル祭りの前日に、再び、宮入と吉沢さんと泉堂さんが、辰野へやってきた。そして重森工務店の事務所に立ち寄り佐藤の家の購入のお礼を言った。


 そして、ちなみに、あの土地は、売れましたかと聞くと売れたと嬉しそうに言った。そりゃ良かったと言うと、3人に、お茶を入れてくれた。これで懸案事項が無くなったので地元の友人達、藤井友之、見城光子、佐島などが集合して自由に使って下さいと言った。


 無料という訳には、いかないと言う意見が多く、1部屋1泊素泊まり4人までで4千円で食事付きなら8千円とした。予約は、全て、佐藤君に電話することとした。こうして、佐藤君は、駅近くの居酒屋を他人に売って、ここで、管理人として働くことになった。


 ただし、旅館ではないので、費用の事は、他人には、言わないという約束とし、必ず、仲間達の1人が、一緒に宿泊することを条件とし、基本的に仲間達の利用に限定する事とした。もちろん、この2軒の所有者は、宮入であり、宿泊料などは、宮入に入る事は、みな了解した。


 こうして2018年も辰野ホタル祭りの1週間、宮入達3人は、辰野に泊まった。その後も8月の諏訪湖花火大会にも泊まりに来た。佐藤君は、元の下村の家に住んで、料理の宅配業を営んで、地道に稼ぎ出し、家賃3万円を宮入に払い始めた。


 そうして、泉堂は、宮入のマンションで、入籍などの手続きを一切せず、同棲を始め仲良くなった。吉沢さんも八王子のカルチャークラブで知り合った男性をパートナーにして同棲を始めた。そして、仲間同士で、ハワイ、台湾、グアム、九州、北海道と旅行をして人生の終末期を楽しんで過ごし続けた。

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夜空にホタルが乱舞する故郷 ハリマオ65 @ks3018yk

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