不幸の絶頂

作者 myz

65

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★★★ Excellent!!!

 なんでもそつなくこなす優等生タツミくんの、人知れず抱えた意外な悩みにまつわる物語。

 不気味な不安感が魅力の、現代ものショートショートです。
 初めのうちはなんの変哲もない、ちょっとした進路相談の風景なのですけれど、その内容と彼の話しぶりが奇妙な真剣味を帯びてくる、その感覚に息を呑む作品でした。重たい不安感にじわじわ絡め取られる感じ。

 なにより魅力的なのは読後の余韻、この心がぞわぞわするかのような後味です。
 単純に不気味というよりは、結局どこまで本当だったのか断定できないことの醸す面白み。
 到底ありえない内容の相談であるが故に、それは嘘や冗談の類だったと「思いたい」心と、でもおそらく真実であろうという予想の、そのふたつが内心でぶつかり合う感覚がとても好きです。

 彼の内心を想像したときの、「正直まるで想像もつかないけどでもゾッとする感じ」が素敵な作品でした。

★★★ Excellent!!!

文武両道の優等生としてその名を知られた少年。
そんな少年の抱える、ある悩みについての物語。

傍から見れば順風満帆が約束された人生。
だが少年によって淡々と語られる内容は、何でも出来る者特有の悩みなんて間違っても言えないような闇深さを感じさせ、それを知ってしまった読者に真逆の感想を抱かせる。
それ故に物語のラストシーン、成功者以外の何物でもない描写に薄ら寒い思いを抱いてしまう。

なぜ少年はあの時悩みを打ち明けたのか。
どんな言葉を掛けて欲しかったのか。ただ聞いて欲しかっただけなのか。
少年が真に救われる道はあったのか。

読後に色々考えてしまう良い物語でした。

★★★ Excellent!!!

ここに描かれるものは、
大小の差こそあれ、現実で、大いに起こっている事だと思う。
皆さんもこれを見ると、
一体何が「その人に取っていい」ものなのか、
「皆さん自身に取っていいもの」とは何なのか、
を考えさせられると思います。
人の見る目と本人の心は別のモノ。
そしてこの結末に対しての言及は何もなく、
これを読んで感じた事こそが、
多くの「人の目」の一つなのだろうと。

人に取っての幸せってなんなんすかねぇ~。
短い学校での一場面を、
ここまで考えさせる作品へと昇華させた作者に脱帽。
やっぱ酒の力って偉大だわ(違います
皆さんもいいお酒をお供にして、
読まれる事をお勧めします。