これから読む方には、ぜひ最後まで通して読むことをおすすめします。
序盤、というか前半は、兄のせいでなかなか嫁にいけないレギーナとその周辺のドタバタ、ロビンを迎えて七転八倒、を通じてナスフ家の面々の人となりが描かれます。
いやー、ロビンったらどうしてそんなにレギーナにこだわるの?と正直疑問だったんですが、後半でロビンを取り巻く事情がみえてきます。
危機に晒されることで明らかになるそれぞれの本音、大事なもののためにまとまっていくさまが見事でした。
読み終えるころにはみんな好きになりました。かなうなら続きが読みたいです。レギーナの成長と、ロビンが幸せなところが見られたらうれしい。
レギーナは、ヘイヴァーン侯ナフス家の長女。
立派な殿方との婚姻を待ち望む十七歳。
もちろん、名家ですからお見合い話もたくさん来るわけです。
本人も、お見合いをするわけです。
ですが。
ことごとく、破談。
原因は明確。
……お兄ちゃんです。
お兄ちゃんの目にかなう男がいないからです。
「お前なんぞに、うちの妹をやれるかっ!! 帰れ、帰れぃ!」と、追い出すからです。
このままでは、結婚できない。一生独身かも。周囲はどんどん婚約していくのに、私は一生「おめでとう」と言ってもらえないのだわ。「おめでとう」という立場なんだわ、と悩むレギーナの前に登場したのは……。
正真正銘の王子様。ロビンです。
さて、レギーナは彼と結婚できるのか! お兄ちゃんの目を盗んで彼とイチャイチャできるのか!
というお話なんですが……。
コミカルなのに、それでも軽薄なだけで終わらないのは、その背後に、しっかりとした国同士の謀略、貴族同士の駆け引き、肉親だからこそ、断ち切れない縁というものがあるからでしょう。
主人公レギーナの育った、このナフス家。
ものっすごくいいんですよ。
家族とは、こういうものだよな、と読みながら思うんです。互いが互いを思いあうから、大きな声で主張しあうし、時にはケンカだってする。だけど、可笑しいときは心から笑いあえるし、家族の危機には、結束して立ち向かえる。
そんなナフス家とひょんなことから知り合ったロビン。
彼に、ぜひご注目いただきたい。
そして、本編のみならず、番外編まで読んでほしい。
きっと、すべてを読み終わった後、もう一度彼について思いをはせることができるから。
お勧めの一作です。
ヘイヴァーン侯ナフス家の長女、レギーナは何度も縁談を断られている。
原因は兄、アーノルドが妹を溺愛するあまり、相手の男に「いちゃもん」をつけるからだ。つまり兄の極度のシスコンのせいでレギーナは結婚できない。
もう後がないと、最後の見合い相手に選ばれたのは微妙な関係のパランデ王国第二王子、ロビン。
裏で渦巻く政治的思惑をよそに、レギーナはロビンに思いを寄せる。
だがそこに立ちはだかるのは、やはり兄、アーノルド!
「貴様のような軟弱な男に大事な妹をやれるか!! 俺に勝ってからでないとこの結婚は認めん!!」
結婚させたくない兄VS結婚したい妹、軍配はどちらに?
兄妹の争いが国同士の関係をも左右して、さぁ大変。
レギーナはロビンと結ばれるのか?
手に汗握る兄妹喧嘩、ぜひともお読みいただきたい。