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次の日の早朝、目を覚ますと夢見坂さんはどこにも居なかった。
仕方なく、私は布団をたたみ、身支度をすると、タクシーを呼び荷物をまとめて静かに一階へと降りた。
「おわぁ……」
一階のレジカウンターには黒猫のさくたろうが寝ぼけ眼で横になっていた。
「うぅ……あさぎさん? っと眼鏡は……有った……」
バササッと本の山が崩れる音がして、奥の本だらけの和室からのそのそと夢見坂さんが起きてきた。
ボサボサの髪に少しナナメにずれた眼鏡で夢見坂さんは、
「次は電話するよ」と言った。
「番号知ってるんですか?」
「何とかするよ」
そして、フニャリとまだ少し眠たそうに笑むと、タクシーに乗って去っていく私をずっと見送ってくれた。
四季のうた 秋雛(アキヒナ) @haine-yakusi
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