第5話 精霊のお伽噺

 


 ――……つまらないわね。


 私は目の前の机にうつ伏せてぼやいていた。


 私の楽しみが減りつつある。

 六年前から続けてるリース君との交流(監視)が、最近目に見えて少ないからだ。


 というのも、去年くらいからリース君が川辺にくる回数が減り始めたの。

 危険だから村の近くまではあんまり行きたく無いんだけど、気になったものはしょうがないわよね。

 それで、森の入り口まで行ったらいつも通りに仕事をしている姿を確認できたから病気とかでは無いみたい。


 いつも通りに木を切って、薪を割って、道具の手入れをしてる。

 変わった事と言えばたまに「サアラ」とかいう子が、お昼を届けにくるようになったことくらいね。


 彼はここ一年で急に成長したと思う。

 顔つきももう少年のあどけなさがすっかり抜けてる。

 そのせいか汗に濡れた茶色の短髪も、紫色の光が宿る瞳も少し……かっこよく見える。

 身長だって私より頭ひとつ分高くなった。


 私だって成長してるけどね。背があんまり伸びてないから分かりづらいけど、これでも体の輪郭が丸くなって大人の女に近づいてるんだから。

 ……胸はまだ大人しくしてるだけ。

 お尻はこれ以上大きくならなくてもいいと思ってるわ……。


 やっぱり考えられる理由としては、心境の変化以外に無いわよね。


 ……川辺にこだわる理由がなくなったとか? 六年も前の事だし、彼以外には誰も知らないって話だった筈よね。流石にあの子のことを忘れようとしてるのかしらね。


「ッ……」


 まただ……何故だか分からないけど、名前も知らないその子のことを考えると胸が痛くなる。


 ――……私は彼とどうなりたいの? 


 私はどうしたいんだろう。ここ最近そんなことばかり考えてる気がする。

 自分の気持ちがよく分からない。

 母さんに相談してみようかな……。


 その日の夕食時に私は母さんにそれとなく話を切り出してみた。


「ねえ、母さん。相談があるの」


「……大丈夫。料理は今日も美味しい。心配しなくていい。」


 魚と香味野菜を煮込んだ鍋料理を静かに口に運ぶ母さん。もちろん作ったのは私だ。


「え? そう? ありがとう。少し味変えてみたの……。て、そうじゃなくて! 私が相談したいのは料理の味じゃ無いわよ! なんで今の話の流れで料理の相談だと思ったのよ!」


 味を褒められて素直に嬉しかったけど、今話したいのは別の事なんだから。


 勢いよく捲し立てる私の姿を見て、母さんがクスリと笑う。


「冗談。料理が美味しいのは本当。元気になった?」


 去年の誕生日から私と母さんの距離はかなり縮まった……と思う。

 少なくともこんな風に冗談を言ったり、笑ったりする様になった。


 ……私の様子がおかしいことに母さんは気付いてたのね。


「……もう。ありがとう、元気出たわよ。それで相談なんだけどさ……実は森で見つけた男の子の話なの」


「……そう。話聞くから。話してみて」


「うん。その男の子を最初に見つけたのは六年前で……」


 私はそう語り始め母さんに包み隠さず全部話した。

 母さんはただじっと私に耳を傾けて話終えるのを待っていた。

 危険を犯して村の近くまで行った事などはなぜか怒られなかった。


「ミーネは…………。ミーネはリースとどうしたいの?」


 私話の途中で名前出したっけ? ……まあいっか。多分どこかで話したんだろう。


「分からないの……。母さんとの約束は破ってない。言葉だって交わしてないわ。彼は私を鳥としか思ってない筈よ。ただ、なんでか彼が川に来なくなったのは寂しい……そう思うの。サアラって子と仲良くしてるのを見るともやもやする」


「そう。ミーネ、あのね? その人の力になりたい。落ち込んでいたら励ましてあげたい。他の子と親しくしてると嫉妬する。いつでも考えてしまう。……会えなくなるのが悲しい。それが好きって事……」


 母さんは今間違いなく、エイラムさんのことを考えている……。

 私の瞳を覗き込むその顔には悲しみが浮かんでいる。


 ――そうか、私は寂しいんだ。


 彼がその子を忘れてしまうと川にくる理由が無くなってしまうから。そうすれば、私は彼に撫でてもらうこともなくってしまうから。


 ……なんだ簡単な事だったんだ。私は嫉妬してたんだ。彼に会えなくなることに、サアラという少女がいつでも側にいられることに。


 私は――いつの間にか彼が好きになってたんだ。


 初めは好奇心から始まった一方的な関係だけど、彼の一途に忘れられない女の子を追いかける姿に恋に落ちていたんだ……だとしたら私の答えは決まっている。


「私は彼に恋してたんだわ。でもこの恋が叶う事は無い。だって、母さんとの約束を破ってしまうものね」


 ――『外に出るときは、絶対に魔法を解かない事』


「……いい。約束、破ってもいい。ミーネが……そう望むなら。私は構わない」


「……うううん。母さんは精霊だから、母さんにとって約束は大事なこと……なんだもんね? なにか理由が……あるんだよね? 私は、母さんを裏切らないよ。母さんが話してくれる日まで待つから。私も母さんを信じてるから。だからずっと一緒だからね! だって私は母さんの子供なんだから! だからこの話はここでお終いね」


 必死に抑えようとしてるのに、私の意思とは関係なく目の端から雫が溢れ落ちる。

 私はこれ以上溢れないように上を向きながら急いで言い切った。


 今の私にとって一番大切なもの――それは母さんなの。

 だからこれでいいんだわ。


 エイラムさんを信じて待ち続ける母さんを、毎日見てきたんだ。

 何百年も約束を守っている母さん。毎日泉で祈っている姿が脳裏に焼き付いてるの。

 それを見てきたこの私が、母さんの悲しみを知っているこの私が。

 どうして母さんとした約束を破れるだろうか。


「…………そう。後悔しない? 本当に?」


「いーーの! もう決めたんだから!」


 そう口に出すことで気持ちを強く固める。


「……そう。貴方がそう決めたなら何も言わない。私を、私を信じてくれてありがとう。時が来たらちゃんと話す。だからそれまで待っていて欲しい。これもまた約束……ね?」


 最後に私の口調を真似ていう母さんが可愛いすぎた。


 ……でもあの感じた胸の痛みは何だったんだろうな。


 少し疑問は残ったけど、これで私の初恋は終わったんだ。


 今日は無性に人肌恋しくて、母さんと久しぶりに同じ寝具の中で寝させてもらうことにした。




 ――あれからもう二年経つのね。


 あの後から私の日課は無くなった。

 川の近くを通った時にたまに探してみるけど、彼もめっきり来なくなったみたい。

 理由は……あんまり想像したくないかな。


 一回だけ母さんに「もう気にならない?」って聞かれて、私が「彼ももう川辺に来てないみたいだし、これで良かったの」って言ったら、なぜか母さんが落胆した様な顔を見せたのは何だったんだろう。


 私ももう体だけ見るならもうすっかり大人に成長した。

 お尻とか特にね…………。

 胸は……少しだけ頑張ったわね。板じゃないだけましよね……?


 ただ少し、いや大分夢みがちな乙女思考になっちゃったのは自分でも分かってる。

 それも全部母さんのする恋の物語が面白いのが悪いんだから。


 騎士とお姫様の話やら王子と町娘の話とか色々。

 失恋したばっかの女の子がそんな話聞かされたら夢みがちにもなるわよ!


 まあそれでも……二年もあれば失恋くらい乗り越えられたわ。

 今年で私は十八才になったんだから。




 ――……懐かしい声が聞こえる。……そういえばこの辺はあの川辺の近くだったわね。


 木の上を飛んでいた私は下の方からもう聞く事もないと思っていた声が聞こえてきたの。

 その声の主ともう一人、女の子かしら? 何だか険悪な雰囲気ね。

 無視しようか迷ったけど、どうしても気になって様子を見に降りることにする。


 ……四年ぶりかしらね。懐かしい顔……立派な好青年になったわね。もう一人は……リース君にくっついて回ってた子かな? 名前は確か……サアラちゃん。


 ……何か言い合いしてるみたいね。近くの木に止まって聞いてみましょうか。


「……なんでダメなの。私、十六才なったよ? おばさんやおじさんだって私達が結婚するのに賛成してくれたじゃん! なんで肝心のリース兄が断るのさ! 私が……私がどれだけリース兄の事好きか知ってるくせに! 酷いよ……」


「………ごめん、サアラ。サアラの気持ちに応えようって、四年前に頑張るって決めたのに。どうしてもダメなんだ。この川で会った少女……エルミナの事が忘れられない、いや違うな……。これだけは忘れちゃいけない、忘れるなって心が叫ぶんだ。だからもう自分に嘘をつくのは止めたんだ。僕はサアラの気持ちには応えられない」


「なにそれ………。十何年も過ごした私よりも、たった数回会っただけの子を選ぶって言うの……? それもリース兄以外は知らない。いるかも分からないのに……。そんなのっておかしいよ……。実際にリース兄と過ごしたのは私でしょ? 村の皆んなだって絶対に祝福してくれる! リース兄はもう二十才なんだよ……これからもずっと待ち続けるの!? リース兄は私を選んだ方が絶対に幸せになれるの! お願いだから私を選んで! 選んで選んで選んで! 選んでよぉぉ……」


「…………ごめん……それでも僕は……」


「ッ……!」


 ――………………修羅場ってやつかな? サアラっ子はどっかに行っちゃったし。


 それにしても全部がすごいタイミングで来ちゃったわね。

 ここを通ったのもそうだし、リース君がここにいたのにも驚いたし、この惨状にもね……。


 懐かしいなこの感じ、こうやって彼を観察しては、辛そうなときはよく側に行ってあげたっけ。


 ……今日だけは特別だから。


 彼の思い詰めた表情見てると居ても立っても居られなくなった。

 私は側に降りていくことにした。


「その首輪、そうか……まだしてくれてたんだ。懐かしいな。ここに来なくなってかなり経つのにまだ覚えていてくれたのか……。あの頃はよく話を聞いてくれてたよね……。また、話しても良いかな」


 私は言葉で返事をせず、ただ側に寄り添った。


「ははは。君は賢い奴だな……。あの子のことが、エルミナの事が忘れられないんだ。僕だけしか覚えてなくても、あの笑顔はあの時の気持ちは本物だった。交わした約束は夢なんかじゃない。だから僕は待ち続けることにしたんだ。なんだかスッキリしたよ。この四年間ずっとかかっていた霧が晴れたみたいだ」


 そう晴れ晴れとした顔で彼は私に語った。


 この一途なところに私は惹かれたんだ。

 人に流されない強いところ、約束を律儀に守ろうとしてるところ……母さんみたいに。


 それよりさっきから変だわ。

 なんだろう、動悸が激しい。

 エルミナって単語を聞いてからだ。どこかに大事なものを置き去りにしているような、そんな感覚がする。


 ……苦しい。胸がざわざわする。


 私は居ても立っても居られなくなって、空へ羽ばたいた。

 木の上まで出て風を切りながら飛んで、目指すのは泉の中央にある私たちの家。

 目的地に着いた私は勢いよく扉を開けて、目当ての人物に声をぶつけた。


「母さん! 聞きたいことがあるの! ……エルミナって子を知ってる?」


「……知ってる」


「それって……私と何か関係あったりするのかな……?」


「……ミーネも二十才になった。約束を果たす時。全てを伝える。だからリースを呼んできて。言葉を交わしても構わない」


「ッ……! 母さんやっぱりリース君のことを知ってたの!?」


 気になることが多すぎるけど、今はとにかくリース君を呼びに行こうと思って体が勝手に動いていた。


 もう一度魔法を使い、大急ぎで来た道を戻る。

 今ならまだ間に合うと思ったから。


 予想通りリース君は川辺にまだいた。座り込んで何かを考えている様子だけど、今の私にはそれに配慮してる余裕なんて無かった。


 私は鳥の姿のまま声をかける。

 リース君は驚きを隠せずうわずった声を出した。

 私が「いいからついてきて!エルミナって子のことが知りたいんでしょ!」と言うと、彼は真剣な顔になって後を追いかけてくる。


 母さんは泉のほとりにいた。

 私達がくるのをここで待っていたみたい。


「……久しぶり。君は覚えてないだろうけど。ミーネ、魔法を解いて」


 言われた通りに私は変身の魔法を解いた。

 人の姿に戻ると体をほぐすために動かす。

 最後に胸のあたりまで伸ばしてる自慢の髪をかきあげる。


「あ、あなたはいったい! それに君の姿……その髪、その顔、間違えるわけがない! どうして君が……水霊鳥だと思ってた君がそうだったのか……やっと会えた……エルミナ」


 リース君は現状を飲み込めずかなり混乱してるみたいだ。

 かくいう私もかなり混乱してるわ。

 だって彼は私を見て「エルミナ」と、そう言ったんだから。


「私がエルミナ……? どういうこと? 母さん!」


「それも全て話す。君達のこと。契約のこと。長くなるけどいい?」


「「うん(はい)」」


 意図せずリース君と返事が重なった。


 母さんは私達の顔をゆっくりと見つめた後、目を閉じ小さく頷くと「十年前の事……」そう語り始めた。

 それは今の私が生まれた理由で、エルミナが消えた理由でもあった。

 私と彼は大切なものを守るために自らこの道を選んだということを知った。


「……十年間ずっと見てた。リース、君は本当にエルミナを忘れたりしなかった。周りにどれだけ奇妙がられても、流されることは無かった。信じて待ち続ける……それはとても辛いこと。命短い人間には特に。リース君は証明してくれた、ありがとう。そして、ミーネ。ミーネには不安だったと思う。何も分からないまま、こんな場所で過ごすことになって。それでも……私を信じてくれたこと、嬉しかった。人間の温かさや色々な感情を私に思い出させてくれてありがとう」


「それじゃあ、僕達はあなたを納得させることが出来たということですか? 覚えてないから実感はないですけど……」


「大丈夫。魔法を解けば全て思い出す。今解くから安心して」


 母さんが詠唱を始めようとしたので、私は割り込んで声を上げた。


「待って! 魔法を解いたら、私はエルミナに戻るのよね? その後母さんはどうなるの……?」


「心配はいらない。約束は守る。私はこの森を彼が来るまで守り続ける」


「ッ……! そうじゃないわよ! 私が言いたいのは……私がエルミナに戻ったら、ミーネはいなくなるって事なんでしょ? そしたら母さんはまた一人になっちゃう! 私は今の記憶も忘れたくないわ! 母さんなら簡単に出来ることでしょ?」


「……記憶を残すことは可能。だけどおすすめしない。私は精霊。人とは生きる時間が違うから……」


「それじゃあ母さんは、私に忘れて暮らせって言うの? 母さんが守るこの森で、母さんを一人置き去りにして、忘れろって……そう言ってるの? ……そんなの絶対に嫌。 この十年間のことを忘れるなんて私には無理! 私はミーネなの! 母さんに貰ったこの名前は絶対に忘れたくない!」


 ありったけの思いを全部乗せて私は叫んだ。

 視界が不透明なもので覆われていく。

 それに大声を出したせいで喉が痛い。

 息を吸ってるのか吐いてるのかも分からなくなりそう。


「今の僕には、あなた達のことはよく分からない。だけどエルミナがここまで必死になってるのは、あなたを強く思ってのことだと……それだけは僕にでも分かります。忘れられる痛みを一番良く知ってるあなたなら、それを見てきたエルミナの気持ちがわかるはずです。僕からもどうかお願いします……」


 見かねた彼も母さんを説得しようとそう言ってくれた。


 母さんは黙ったまま私を優しい目で見つめてくる。

 私の目の前まで来るとその細くて綺麗な指先で、涙を掬ってくれる。


 私の頭を優しく撫でながら「後悔しても知らないからね?」そう囁いて元の位置まで戻っていく。


「……もう何も言わない。気持ちは伝わった。契約通りこれから魔法を解く」


 母さんの頬には一筋の涙が光っている、だけど悲しさは全く感じられない。


「――悠久を旅する光達。集い道を照らせ。導くものをそのままに。戻るはあるべき姿へと」


 母さんが詠唱を始めると、泉に住む光の子供達が周りに集まってきた。

 私たちの周りで強く発光し、祝福するように照らしてくれる。

 その青みがかった緑の綺麗な髪が空中をたゆたい光を吸収しているかのよう。

 右手の人差し指を空に向けて腕を伸ばし、「――イデアル」そう言い放った。


 瞬間、私の中に光が溢れてきた。

 私も彼もその場に崩れ落ちる。


 ――眩しい。


 これは……記憶? 色々な記憶が道の明かりを灯すように次々と頭の中に流れ込んでくる。

 情報量が多すぎる……思考がはっきりしない。


「そうか……僕はやり遂げたんだ。忘れなかった。信じ続けた。長かった……。やったよ……僕はやったんだエルミナ!!」


 私を呼ぶ声が聞こえるとても聞き慣れた懐かしい声が。


 ――……今の私はだ? 


 リースがふらふらといつの間にか近寄ってきて、私を抱きしめようとした。

 私はそれを両手で止めた。

 彼の行き場を失った両手がうろうろしてる。


「違うよ……リース。これからの私は。エルミナもミーネも両方私。だから両方の私を愛してね? 約束果たしてもらうんだから」


 そんな彼に構わずそう告げて、私は自分から抱きついて彼の唇に自分の唇を軽く重ね合わせた。


 ……頬が熱い。リースも林檎みたいに真っ赤になってる。


 私と彼の物語はこれからが本番なの。

 だから、見届け役が居ないと困るわよね。

 私はその役に適任の人に向かって頭を下げた。


「ミルウォーネ様……森を見捨てないでくれたありがとうございました! これはエルミナとしてのけじめ。そしてこれは、ミーネとして。私を長い間育ててくれてありがとう」


「……構わない。私のせいでもあったから」


「それじゃあここからはとして言うね? 小さい頃に母親を亡くした私にはお婆ちゃんしかいなかったの。でも母さんと過ごした毎日のおかげで親子ってこういう感じなのかな? ってそう思えた。私にとってはミーネとして暮らした日々も宝物になった。だからね……母さん。これからも一緒にいさせて欲しい。母さんをあの人が迎えにくるまで私達が幸せにするから。例え私達がいなくなっても私達の子供が、またその子供達がいずれ来るその日まで、母さんを一人にしたりしないから」


 この十年間で私は間違いなく母さんとの間に確かな絆が出来たと思ってる。

 大事な私のもう一人の母さん。

 初めて会った時の冷たい表情も今は見る影もない。

 母さんも同じだよね?……そう思って母さんの顔を確認すると言葉にしなくても全部伝わってきた。


 母さんの両目からは幾筋もの涙がこぼれ落ちて、溢れんばかりの幸せが笑顔から滲み出ている。

 その笑顔を見ていると、草原を風が吹き抜けるような心地よさが胸いっぱいに広がっていく。


 そして母さんはただ一言だけ「精霊との約束は絶対……ね?」そう言った。

 私はそれに「当たり前よ! だって私は母さんの子供なんだから!」そう返したの。




 これから出来るお伽噺には不幸な精霊なんて出てこさせないわ。

 母さんは今までの分も合わせて私達が幸せにするんだから!!

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精霊を救ったのはただの村人でした。 SaltyL(ee) @neronero

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