第3夜 秘密基地という言葉の不思議な魅力
(短編小説「秘密基地の鍵、お貸しします」に添えて)
皆さんごきげんよう。
先ほど、秘密基地を題材にした小説を脱稿して、今は年末の大掃除をしているところであります。
え?これから掃除するのかって?いや、小説書くのに集中してたんですよ。年末の仕事納めをしてから数日が
私の大掃除はこれからだ!
私の家の大掃除は、定石通り上からやっていく。
はたきを使って天井の埃をはたき落とし、そして窓の
天井って意外に埃がたまっていて驚く。
静電気でくっついているのだと思う。はたきでたたくと引くほど埃が落ちてきた。普段やらないところだから余計に。
この作業、私は意外と好きである。
スマートフォンのラジオ番組をつけると、年末だから、「第九」が流れていた。はたきを指揮棒のように振り回し、部屋中の埃をはたき落としていく。
なぜ年末に大掃除をするのか、という疑問を調べたことがある。
江戸時代、江戸城では旧暦12月13日の
江戸城中を大掃除することによって、
面白いのは、埃ではなく、煤という言葉を使っていたことだ。
ある一説では、江戸時代は暖を取るために
煤って、私ははたいたことは無いんだけど、はたきで落ちるものなんだろうか。
そしたら、煤払いでは、竹を束ねたものを用意して、竹の先端の笹を擦りつけるように一気に煤をたたくんだってね。それだけのものを使えば確かに煤も落ちそう、納得。
今も今で、大掃除って大変で面倒なイメージがあるけれども、昔は昔でもっと大がかりだった。技術の発展に心から感謝せざるを得ない。
年末の大掃除という文化は、日本特有のものなんだとか。
海外は、年末には大掃除はしないらしい。そういった行事は、春先にするそうだ。簡単に調べてみると、いくつかの理由が述べられていた。例えば、春は暖かい時期なので、窓を開けて大掃除ができると言った風に。いずれにせよ論理的かつ実用的な根拠をもとに、海外では春先の大掃除を敢行しているようだった。
日本の年末年始って、静かで、かつ伝統的行事なんだなと改めて感じさせられた。
掃除のついでに、部屋の模様替えもした。
きれいにした部屋はそれだけで気持ち良いけれども、模様替えをして新しい環境にすることで、より新鮮な気持ちで新年を迎えることができる。
机の位置、パソコンの位置、テレビの位置、ベッドの位置。
できることなら今までに無いレイアウトにしてみたい。
模様替えをした後の部屋に、初めて座って作業をするとき、なんだか小躍りしたくなる気持ちで楽しくならないだろうか?
私は、この高揚感の正体を、新しい自分の居場所を作り上げたことによる、新しい船出のような、未来への
似たような気持ちを子供の頃に味わったことがある。
小学校の頃に、近所の友達数人と一緒に、秘密基地を作った時のことだ。
友達とよく遊んでいた広場の脇の小さな雑木林。そこに集まって、皆で協力して秘密基地を作り上げた。
秘密基地というには、建築物もなくて、そこに生えていた木の下に陣取り、
お互いに家からベーゴマやら、おもちゃやら、本やらを持ち込んだ。
外からの侵入者が来てもわかるように、人が近づいてきたら音が鳴る仕掛けを雑木林の茂みのいたるところに施した。
見張り台を作った。落ち葉の中から2メートルほどの長い木の棒を持ってきて、その先端に白い布を括りつけた。見張り役が侵入者を見つけたら、その旗を大きく振って秘密基地の仲間に異常を知らせるのだ。
秘密基地を作りはとてもワクワクした。
なぜワクワクしたのだろう。秘密基地という非日常性からくるものだっただろうか。
今振り返ってみると、子供の私は、友達と過ごすこれからの秘密基地生活に思いを馳せ、高揚していたのではないか。
物事を成すときに、準備しているときが一番楽しい。
そんな言葉を聞いたことがある。
秘密基地は、理由なく作られるものではなく、何かの目的を達成するために作られるものだ。
だからこそ、秘密基地は私たちの心を揺さぶる何かがあるのではないか。
私たちは誰しも、どこかに秘密基地を持っているのかもしれない。
何か行動を起こすとき、その秘密基地のワクワク感を失わないようにしたい。
私はそう自戒する。
年明けに向けて、部屋の準備は整った。
来年はもっといい年になる様、前進していきたい。
読者の皆様も、良い年末年始をお過ごしください。
あるカクヨム作者の脱稿夜会 陽雨 @HisameRains
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