女子高生詩人と俺とハイスペ彼女 〜 俺としか話をしないクラスメイトがいつの間にか詩人でアイドルになっていた件

代官坂のぞむ

第1章 見出された時

第1話 なんでこんなことになっている?

 ある朝、教室に着くと、隣の席に座っている誠が目を輝かせて質問してきた。

「健太、学校中の噂になってるじゃん。いつの間に陽菜さんと付き合ってたの?」


 えっ? 何寝ぼけてるんだ、こいつ。


「いや、付き合ってるわけないだろ。毎日お前が見てた通り、俺は単なるいじられキャラだし。何があった?」

「陽菜さんが、吉岡のやつをぶっ飛ばしたらしいぞ」


 まじか?


***


 俺の名前は御代田 健太みよた けんた

 お笑いコンビの芸名みたいとよく言われるが、本名だからしかたない。この4月に、ここ富士見ヶ丘高校に入学したばかりだ。


 隣の前橋 誠まえはし まこととは、入学以来、一番よくつるんでいる。

 こいつは俺と違って女子ウケもいいし、誰とでもそつなくコミュニケーションを取るのがうまい。それでも、教室の一番前の席に並んでいるよしみか、なぜか俺と絡んでくれる。



 で、話題になっている南牧 陽菜みなみまき はるなさんは、俺のすぐ後ろの席。だが、とても「付き合って」なんて言えるような人ではない。


 きりっとした涼しげな目元に、小さく整った鼻すじと唇。

 肩までかかる髪をいつもポニーテールにしているのは、剣道部の練習で動きやすいからだそうだが、実に硬派。

 間違いなくクラスで1、2を争う美人で、入学してからの2ヶ月で6回は告白されたものの、ことごとく瞬殺されたという話。

 まあ、そこらの男じゃ相手にしてもらえるわけないよな。


 席も近いし、何かとからかわれることは多いが、決して俺なんかが付き合えるような玉ではない。


「昨日、陽菜さんがお前の顔見て、吉岡に殴られたって聞いたら、すごい怒ってただろ?」

「そうだったな」

「そうしたら放課後、サッカー部の部室に殴り込んで、『私の大事な健太に手を出したら、絶対に容赦しない』って、竹刀でぶっ飛ばしたらしいぜ」


 なんと言うか、どこまで正義感の強い人なんだ? ちょっと言い回しが気になるけど。


「で、お前と陽菜さんは、絶対に誰も手を出せないカップルで、『誰も手を出せないアンタッチャブルバカップル』って認定されてる。全校的に」


「おい、待てよ。尾鰭が付きすぎだろ」


どういうことだ?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

女子高生詩人と俺とハイスペ彼女 〜 俺としか話をしないクラスメイトがいつの間にか詩人でアイドルになっていた件 代官坂のぞむ @daikanzaka_nozomu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ