第5話 ドラゴン討伐クエスト
帰ってきた俺は、なんとか今日の宿代も確保する事ができた。
早く安定した仕事で稼がないと、その日暮らしになってしまう。
今日も俺は、ギルドへ足を運んだ。
「いらっしゃいませ。お魚さん」
「ああ、もう魚でもなんでもいいよ」
「クエストですか?」
「そう。なんかババーンと稼げるやつないの?」
「そうですね。これなんてどうでしょう?ドラゴン討伐クエストです」
「ド、ド、ドラゴン!?なんかヤバそうなんだけど」
「その代わり報酬は100万G。破格の金額です」
「でもその代わり、命が危ないんじゃ……?」
「そうですね。一人でドラゴン退治なんて無謀ですね」
「いや、ダメじゃん!!」
「そういう時は、仲間を探してチームを組んでクエストを受けるんです」
「ほう。仲間か。仲間はどうやって見つければいい?」
「そんなの自分で考えてくださいよ。ここは友達紹介所じゃないんですよ」
「そうか。わかった。とりあえず仲間を集めてまたくるよ」
「はい。お待ちしてます」
俺は冒険者ギルドを出て行こうとしたら、女が声をかけてきた。
「あんたドラゴン討伐クエストを受けたいのかい?」
「ああ。そうだ。仲間を探しているところだ」
「だったらあたしと組まないか?あたしは自称大魔法使いのクレアだよ」
「自称ってのが気になるけど、魔法使いか。そりゃいいな。いいぜ、組もう」
「後は剣士とかも必要だな」
「いらないよ」
「えっ?」
「あたしが攻撃。あんたが囮。二人で行こうよ。そうすりゃ報酬も50万Gずつで取り分が大きくなる」
「俺、囮なのか!?」
「当たり前だろう。私の詠唱する時間を稼いでくれりゃいいんだ。簡単な話だろ」
「わかった。ならそれでいこう」
「話が早くて助かるよ」
俺はすぐに受付に戻った。
「お魚さん。どうしましたか?」
「仲間を見つけた。ドラゴン討伐クエスト受けるよ」
「おお。絶対芸人なんて誰もパーティーに入ってくれないと思ったのに意外」
「うるせえ」
「それじゃ受け付けますね。ドラゴンはビルディアマウンテンにいます。気を付けて」
そして俺は、クレアさんと一緒にビルディアマウンテンに向かった。
「クレアさん。ドラゴンってでかいんですか?」
「そりゃでかいよ。あんたなんか食われたらいいのに」
「なんてこと言うの!?仲間だろ!?」
「あんたが食われてる間に私が魔法でズドンとやったら、報酬は私の独り占め」
「最低か」
「冗談だよ。上手く時間稼いでおくれよ」
しばらくビルディアマウンテンの奥に進むと、ドラゴンを見つけた。
「いたっ!!で、でけぇ!!あれがドラゴンか」
「おー、いるねえ。ケンイチ、頼む」
「おう」
俺はドラゴンの前に躍り出て、ズボンを脱いだ。
「へいへーい。ドラゴンさーん。へいへーい。間抜けなドラゴンさーん」
ドラゴンは俺を見つけると、襲い掛かってきた。
「ぎゃあああああああああ」
思ったよりも早い。俺はズボンをその場に捨てて、パンツ一枚で逃げた。
上の服も脱いでもっと早く走らなければ死ぬ。
そう思い、上の服も途中で脱ぎ捨てた。
「ぎゃああああああああ。クレアさん、早く早く早くーー!!!!」
「神よ。聖なる神よ。我に力を与えたまえ。我が欲するは雷。雷の力なり。どうかどうか私に雷の力を貸してください。お願いします。プリーズプリーズ」
「どんな詠唱だよ!?あんたほんとに魔法使えるの!?」
「いでよ、雷の裁き。サンダーボルト!!」
バチーンッとドラゴンに雷が落ちてドラゴンは消滅した。
「よっしゃ!!」
「クレアさんすげええええええ。あんな変な詠唱なのにマジかよ!!あんた本物の魔法使いだよ!!」
「ドラゴンの角を持って帰ろう。討伐の証だ」
「おお。そうだそうだ。剥ぎ取ってっと……」
ドラゴンの角を剝ぎ取った。こうしてドラゴン討伐は完了した。
冒険者ギルドに帰り、討伐完了の報告をする。
「あ、お魚さん。生きてたんですね。ってかどうしてパンツ一枚なんですか?変態ですか?」
「こっちは必死だったんだ。少々大目に見てくれ」
「ってかその格好でよく街中を歩いてきましたね」
「ったりめえだろうが。俺はお笑い芸人だぞ。羞恥心なんてねえよ」
【スキル:裸芸を取得しました】
「それじゃ、これ報酬の100万Gです」
「やったぜ」
「クレアさん。あんたのおかげだよ」
「いや、あんたの囮っぷりもなかなかのもんだったよ。おかげでたんまり儲けさせてもらった。また危険なモンスターの討伐の時には、囮役で呼ばせてもらうよ」
「もちろんだ。いつでも体を張るから呼んでくれ」
こうして俺は、十日分泊まれるだけの宿代を稼ぐことができた。
間違えてステータスをギャグに全振りしてしまいました 富本アキユ(元Akiyu) @book_Akiyu
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