俺にはまだ親友と同じような恋心を手に入れらそうにない
教師に入ってすぐ、俊は机の上に突っ伏して項垂れていた……。こんな姿でも絵になるイケメンは、クラスの女子が心配そうな視線と、机に突っ伏してる夏川君も素敵♡的な視線を一身に受けている。
「うぅ……どうして僕は……話しかけるって簡単な事すら出来ないんだ……」
また春野にまともに話しかけられる事すら出来ずに凹む俊。そんな俊に苦笑を浮かべるしか出来ない俺。
「もう人見知りの性格は治ったと思ったんだがなぁ……」
俊は出会った頃は人見知りが激しく、俺とまともに会話出来るようになるまでそれなりに時間がかかった。春野に惚れてからは、人見知りを治す特訓をしたおかげで誰とでも喋れるようになったと思ったのだが……
「……これはもう……人見知りとか関係なく……好きな人と話すのは誰だって緊張するんだよ……」
「そういもんか……」
「そういうもんなんだよ……」
そういうものか……人を好きになるって事ってのは何かと難しいもんだな……
「……岩ちゃんは誰かを好きになったりした事はないの?」
「ん?俺?そうだな……」
俊に尋ねられ、俺は色々と思い返してみたが……
「普通に可愛いなぁ……とか、美人だなぁ……と思った相手は何人もいるし、付き合ってみたいなぁ……と思った相手もいなくないが……やっぱり俊のように強く好きだって思った相手はいないかなぁ……」
俺だって男だから、女の子を見て可愛いなとか、美人だなぁとか、この娘と付き合ってみたいなと思ったりもしたが、好きな娘の為に必死に自分を変えようとする親友を見てきたので、それと同じぐらいの気持ちを抱いているかと聞かれたら、否定の言葉が出てきてしまう。
「……ちなみに、参考までに聞くけど如月の事はどう思ってるの?」
「ん?如月か?そりゃあ、もちろんお前の妹だし。俺も大事な可愛い妹だと思ってるぞ」
まぁ、向こうは俺の事を声がデカくてうるさい奴と思ってるかもしれないが……それでも、俺の話に耳を傾けているので、少しは俺の事を兄みたいに思ってくれてるのかもな。うん。
「…………如月。頑張れ」
俊が苦笑を浮かべ軽く溜息を吐きながらそう呟いた。はて?今日、如月のクラスで小テストか何かあったのか?
大親友の初恋を応援していただけなのに、どうしてこうなったぁ!!? 風間 シンヤ @kazamasinya
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