第3話 落ち着こうや

「えっ、ちょっ…えっ?父さん、どうなってんの?」

「ゆ、悠人にも見えてるか?」

「と、とりあえずドア閉める?閉めた方がいいよね…なんか怖いし…」

街ゆく人達にあまり見られたくないオレは、ゆっくりとドアを閉めた。

「どうなってるのかしらぁ…陽奈ちゃんも、おんなじ感じぃ?」

「うん。外の雰囲気が変わってたね。外にいる人もなんか変だったし。ねぇ、これって学校休んでもいいのかな?」

「そうねぇ…こんなおかしな状況だもん。学校どころじゃないわよねぇ…」

母さんと妹の陽奈も、動揺はしているようだ。それにしてはゆったりし過ぎている気もするが…

とりあえずスマホで時間を確認してみた。スマホはこれまで通り使えるらしい。

「てか、外だいぶ変わってるよね?高い建物も向かいにあったし…」

そう、まるでヨーロッパの街並みのようになっているのだ。先ほど一瞬だけ見た感じだと、向かいの建物は1階がパン屋のようになっていて、2階からはアパートのようになっていたと思う。4階まであったのかな?

「そういえば、この家どうなってんだろ…」

服を着た狼や、魔女のような人物が当たり前のように歩いている外に出るのは怖いが、ビビりながらも外に出て家の様子を見てみた。

玄関のあたりには小さな庭ができていて、石垣と共に低めの木々が茂っている。

家はというと、少し黄ばんだ白い壁と、赤いレンガの屋根、両隣には4階ほどの建物、そして煙突…ん?煙突?

「ちょっとみんな、なんか煙突ができてるよこの家…あれっ!?」

いつの間にか内装まで変わっていた。小さなシャンデリアもなかったし、そもそも靴を脱ぐスペースがない。

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異世界ファミリー ヒナタジャンクション @Hinata-Junction

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