センスを嘆く暇にセンスある先人の知恵を

おおよそ、文学や映画に関係なく、大概の芸術には「センス」という、なんとも捉え難く抽象的な言葉がある。

それが己に備わっていないから書けないんだ、そんなことを思い悩む暇に、センス満ち充ちる先人から知恵を拝借した方がずっと良い。

パイを焼く為にオーブンと機材だけ買い揃えて、卵とバターと、あとは水があればたぶん──なんて考える人はいない。
皆最初はレシピ本を熟読したのち、何度か練習を重ね、ようやく本番に取り掛かるのである。

無論それで美味しいパイが焼けるとは限らないが、もし準備の過程をすっ飛ばすと、よほどの天才でない限り完成しないか、ダークマターが出来上がるであろう。


脚本もまた然りである。
まずはカンや才能に頼るのではなく、たしかな知識を学ぶべきだ。
そうすれば、少なくとも「そこそこのもの」が作れるときが来るはず。