天使エルエルと僕

渋谷かな

第1話 天使エルエルと僕

「天使エルエルと僕」


「よし! ネット小説投稿サイトに応募するぞ!」

 某ネット小説投稿サイトに自分の作品を投稿した。

「でも、投稿作品数が1万を超えている。僕の作品はどうなんだろう? あれ? アクセス数が0だ!? 誰もネット小説投稿サイトにいないのかな? あれれ? 投稿した作品を審査する人たちは読まないのかな? それじゃあ、どうやって大賞を決めるんだろう? まさか最初から大賞を受賞する人が決まっているのかな?」

 僕は不安に駆られる。

「大人の事情です。」

 その時、小さな少女が現れた。

「ウワアアアアア!? どこから入ったの!? まさか泥棒!?」

「違います! 私は天使です! 天使エルエルです!」

 現れたのは天使エルエルだった。

「エルエル? 安っぽい名前だな。」

「そうなんです。天界の女神様が「天使の名前には語尾にエルが付いていればいいのよ」って、私の名前を簡単につけたんです。悔しい!?」

 これが僕とエルエルの出会いだった。

「きっと審査員の人は悪魔に操られているんです。」

「悪魔?」

「そうです。この世は不条理ばかり! 最初から大賞が決まっていて、アホな審査員や作者がフライングで大賞決定作と宣伝する始末! この世はコネと不条理でできています! その全ては悪魔の仕業です!」

 悪いことは悪魔の性であった。

「さあ! ネット小説投稿サイトに行きましょう!」

「おお!」

 僕とエルエルは出版社に行く。

「ここが悪の巣窟か。」

「いました! 悪魔です!」

「いいか。もう大賞は出版社の契約している作家を大賞受賞という箔をつけて売り出すためのコンテストなんだからな。他の奴らは養分だ。勝手に応募作品が増えて丸儲けだ。アホどもは勝手に騒がせておけばいいのだ。ケッケッケ!」

 ネット小説投稿サイトの審査員の耳元で悪魔が囁いていた。

「やめろ! 悪魔!」

「なんだ!? 俺の姿が見えるのか!? おまえたちは何者だ!?」

「天使エルエルと普通の人間だ! 悪魔なんかやっつけてやる!」

「この悪魔デビデビを倒すことができるかな!」

 天使と悪魔は昔から仲が悪いらしい。

「エルエル・パンチ!」

「デビデビ・パンチ!」

「ギャアアアアアアー!? 覚えてろよー!?」

 悪魔は星になって消えていった。

「天使は勝つ!」

「やったー! 勝った! 勝った!」

 天使と僕は悪魔に勝った。

「これで公正なコンテストが行われますよ!」

「ありがとう! エルエル!」

 僕は審査員から悪魔を追い出せて喜んだ。

「これでもダメなら審査員が、まだ悪魔に取り憑かれているんでしょう。」

「そんなことはないよ。きっと皆の作品が読まれて、公正な審査が行われるはずだよ。」

 僕の純粋に信じる心が天使エルエルを呼び寄せたのだろう。

 つづく。

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