今ここで、俺は生きていてよかった。
- ★★★ Excellent!!!
主人公の【俺】が、心身の調子を崩し、病んでいるという作品紹介から、今まで読むのがしんどい作品かなと思って先延ばししていた。
それでも今日は、赤い砂に自然と引き寄せられるように、ただただ読みふけってしまった。
そこには、静かで美しい、それでいてごく淡々とした自然の営みが、【俺】と私の前に広がっていた。
「生涯に一度しか起きないようなこんな邂逅の粒」という表現が出てくる。
これぞまさに、私が今日この作品に出会えた奇跡のことではないか。
素晴らしく日本語が美しい。秀逸である。描かれる自然は、静かな涙を誘う。
そして、主人公の【俺】は言う。
「これからのことはわからないが、今ここで、俺は生きていてよかった。」