『二度と関わらないでください』
人を遮断するかのような言葉を「たすけて」と変換して読んでいただきたい世界です。
「こども」が「おとな」の役割を果たさなければならない「家族」の形は、「こども」の現在だけではなく、その後の人格形成にも影響を及ぼすはず。しかしながら「家族」の形に、きっと「正解」は無いのです。人の数だけ「家族」の形がありますし、第三者が何処まで介入していいのか、その匙加減は非常に難しいものです。作者様のお言葉を借りますと、「理解の無い支援は、押し付けでしかない」と、受け取られることもあるのです。けれども、「こども」を壊すような「家族」の形を看過してはいけません。分かち合える困難は分かち合って、人ひとりの負担が軽くなるよう願わずにはいられません。
ドキュメンタリーを読んでいるような気持ちで、現実に起こっている社会問題を考えさせられた小説です。