度を越えた野心や慢心は悪!
- ★★★ Excellent!!!
順番的におかしいのですが、私はまず先に『わたしの両親は魔道具職人』を読んでいました。この作品の後日譚というか、同じ世界観でちょっとだけ時間軸の違うお話ですね。
結果から言いますと、「私はこの順番で読んで良かった!!!」でした。
元々ネタバレを一切 気にしないタチで(だから自分の感覚を元に平気で他人にネタバレして、よく怒られます)、明確なゴールへ向かってどう進むのか? 途中でどんな事件が起こってどんな壁が立ちはだかるのか? なんて考えながら読むのが好きなんです。
だからこの作品の核たる恋模様のラストも、「どうなるか」だけは分かった上で読み進めました。その上で意外な展開だった、気持ちのいい裏切りを受けたと言わざるを得ません。
なんと恋模様よりも「魔道具」の奥深さと行く末に目を奪われてしまったのです。
お話の核は恋模様じゃなくて魔道具、ひいては人間の「弱さ」だった……思えばタイトルに「魔道具」ってついてた……。
読了後の気持ちは「イイネ!」これに尽きます。
主人公の宗ちゃんは最後とても良い決断をくだしました。思い返せば物語の冒頭、「野心や慢心を抱きさえしなければ」って言っているんですよね。
彼は徹頭徹尾そのスタンスを貫いて、結果 最良の選択をしたと思います。あんなに魔道具が売れて効果も絶大で、しかもまだ若い……となれば、「俺はこのまま折春さんと よろしくやるぜー!」となってもおかしくないのに……。
そしてヒロインの亜由美も、物語中盤まで男に騙されている事に気付かず 偽りの幸せに浸っていたのですが――――最後の最後、宗ちゃんから思い通りの言葉を聞けなかった時に不貞腐れるの、すごく可愛いじゃないか!(笑)
この作品を読んだ後だと、より一層『わたしの両親は魔道具職人』の物語に没入できます。あの人の台詞はこういう思いで……とか、ふむふむこんな事が過去あったから……なんて。
……いや、普通にこっちを先に読めば良いだけの話なんですけどね!