教室の机全てに置かれた板チョコ。この謎が映し出す犯人とその動機に思わず切なさが込み上げました。そして何より印象的な雨の中のラストシーン。表現力に圧倒されると共にタイトルの意味をこれでもかというほど噛みしめさせられました。このほろ苦い青春を、是非一度読んで味わってほしいと思います……!
遥か昔にモテない青春を送った私としては、ある種の嫉妬を覚えない事もないのですが、エンタメとして面白く、文学として美しいこの作品はオススメしたいものであります。計略というか、狡さみたいなものは、どちらかと言えば醜い人の業でありますが、そこに若さと秘めたる思いというエッセンスが加わると、美しく映えるものなのかも知れないな、なんて事も思いました。いい作品です。
葉子、アンタよく頑張ったよ……(誰目線?)主人公の葉子、推理好き(?)な水明と、名前だけ登場する瑞佳。登場人物全てに少なからず共感できる部分があって、人間関係って本当に複雑だと再認識しました。関係性を壊さぬようにするためには?全員が幸せになるためには?きっと、どう足掻いても無理なんですよね。一部の抜け目ない人々が横から幸福を掠め取って行くだけ。だから、葉子はよく頑張ったよ……! (二度目)
淡い恋心の中にワクワクとドキドキと……その他、諸々の様々な思いが詰まってます。冒頭で出てくるチョコの甘味と苦味が、口の中で色を変えながら、ストーリーは核心へと進んでいきます。柔らかめの文体も作品とマッチしてて、美味しく読ませて頂きました。