第2話

外の廊下で女子生徒の声が聞こえてくる。

楽しくてたまらないといった笑い声が聞こえてきて胸がズキズキと痛んだ。

泣きそうになって思わずベランダへ飛び出して非常階段から屋上へ駆け上った。

自分は人との対話が苦手でいつも人を避けてしまう。

必要以上に人目を気にして苦しむ。

教室ではそれとなく平然を装ってはいるが内心とても怯えていていつも嫌な冷や汗をかいている。

ひどい時には吐き気までこみ上げてくる。

そんなうちに人と関わりたいとも思わなくなった。だけどやはり一人は辛くていつも一人で泣いてしまう。

いつだってそうだ自分からは何も渡さないのに人からは自分を満たすものを貰おうとする。そんな醜い自分が大嫌いだった。

別にイジメを受けているわけでもない、虐待を受けているわけでもない、なのになぜこんなに苦しいんだろう。

寒い風にさらされてさらに体が痛くなった。涙が溢れてその場にひざまづいてしまう。

醜い自分が嫌だ、呻くように声を上げた。そのまましばらく泣いてしまった。

冷たい風に私の髪が揺れる。

     「どうしたの?」

柔らかく温かい凛とした澄んだ声が聞こえてきてハッと顔をあげる。

顔は中性的で綺麗な顔をしている。紙は短く切っているが前髪は目にかかるほど長く伸ばしてある。

一瞬見惚れてしまったが今自分が置かれている状況を理解して羞恥に、顔を赤くする。

最悪だ、こんな姿を晒してしまうなんて。

だけどそんなことを考えているうちに彼女は自分の着ていたブレザーを脱いでふわりとかけてくれた。

その彼女の淀みのない動作にぽかんとする。彼女の瞳はまるで大切なものを慈しむような優しい瞳をしていた。

なぜだろう、その時私はこれまで傷ついて血が滲んでいた心に優しく治療薬を塗られた気がした。

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冬の屋上でまた君と出会う @koriame26

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