月は二人を見守っていて

ストーリーが流れていく中で、特別なキャラクター紹介などないのですが、二人がただ話すだけで彼らの世界に流れている現実が溢れてくるよう。短い中に、登場人物の人生がきっちりと彫り込まれているように思えるのが素晴らしいと思いました。

——これは、作品よりも作家性と言う部分に言及してしまうのですが、私は作者の筆致がとても好きなのです。軽妙、と言う言葉が似合う。衒いなく、個性的でリズミカル。
短い作品ですが、作者の文体や個性、作品の背景にそびえるリアリズムが良い塩梅で詰まった作品だと思います。これは、naka-motooさんの作家性に触れる好機だと思い、この度このような紹介の仕方をさせて頂きました。
ぜひ手に取ってみてください。